『娼婦』として『緋色の野獣』(国連)に協力してきたものみの塔協会

少しでもエホバの証人に関して知識を持つ人であれば、ものみの塔協会がエホバの証人に対して国連をどのように見るべきかを教えてきたかは、よく知っています。国連の前身である国際連盟も含めて、ものみの塔協会は国連を一貫して、啓示の書に書かれた「緋色の野獣」であり、それに協力する他の宗教は全て、「大いなるバビロン、娼婦たち」であるとして、最大限の侮蔑の言葉を投げつけてきました。

*** 啓 243 33 悪名高い娼婦を裁く ***
連盟の後身である国際連合についてはどうですか。この機構もまた,最初からその背に大娼婦を乗せており,その娼婦は明らかに同機構と交渉を持ち,その運命を左右しようとしています。例えば,1965年6月の国連20周年記念日に,ローマ・カトリック教会,東方正教会,ならびにプロテスタント,ユダヤ教徒,ヒンズー教徒,仏教徒,およびイスラム教徒の―地上の人口のうち20億人を代表すると言われる―代表者たちが,国連を支持し,賞賛してきたことを祝うためサンフランシスコに集まりました。

ものみの塔の教義によれば、これらの国連と馴れ合いになっている「偽りの宗教」にエホバの祝福はなく、これらはやがて滅ぼされるべきものである、とされています。ここでは国連は「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」とされています。

*** 塔84 9/15 15 全人類を祝福するために救われる「全イスラエル」 ***
国連は実際のところ,アブラハムの「胤」による神の王国を阻む所に立っています。したがってそれは現代の「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」です。(マタイ 24:15)そうです,キリスト教世界の宗教上の僧職者やユダヤ民族のラビたちがその機構に天からの祝福を祈り求めているとしても,国連は祝福とはなりません。それは実際,「この事物の体制の神」つまり悪魔サタンの,目に見える政治的,商業的組織,すなわち「野獣の像」なのです。ですから国連はその獣のような組織もろとも間もなく滅ぼされてしまいます。―啓示 13:1-18。コリント第二 4:4。

この国連に対する見方は、1997年のものみの塔誌でも繰り返し教えられています。

*** 塔97 5/1 17 偽りの使者たちに平和はない ***
まず第一に,国連と余りにもなれ合うことの多かった世界の偽りの宗教の前途にはどんなことが待ち受けているでしょうか。それらは,古代バビロンという同一の偶像礼拝的根源から生まれ出ています。啓示 17章5節は適切にも,それらの関係について,「大いなるバビロン,娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母」と述べています。エレミヤはこの偽善的な集合体の前途の定めを描写していました。それらの宗教は娼婦のように地の政治家たちをたぶらかし,国連におもねてその成員となっている政治権力と不義の関係を結んできました。

このような背景を見る限り、エホバの証人の誰が、ものみの塔協会が国連の憲章を尊重し協力するなどと想像するでしょうか。しかし、インターネットの威力はここでも、ものみの塔協会の隠された偽善を暴露することになりました。国連のウェブサイトを詳細に調べた現役や元のエホバの証人は、ものみの塔協会がNGO(非政府協力機関)として登録されていることを見つけ(ものみの塔協会が含まれる国連NGOのリストのウェブページのコピーを参照)、半信半疑でものみの塔協会と国連に対しその信憑性を明らかにするように求めて来ました。NGOとはNon-Governmental Organization の略で、国連と政府以外の民間団体との協力関係について定めた国連憲章第71条の中で定義されている団体であり、その参加には国連憲章の尊重と国連への協力が条件となっています。この事実に直面した、ものみの塔協会に忠実なエホバの証人たちは最初、これが間違いである、あるいはデマであるとして、組織の「緋色の野獣」との協力をあり得ないこととして片付けようとしてきました。

しかしこの問題は、10月11日付けの国連からの手紙によりその全容が明らかになりました。国連のNGOセクションのチーフ、ポール・ヘッフェル氏は、その手紙の中で、ものみの塔協会が1991年にNGOとして国連の広報部門(DPI)に協力することを申し出、1992年にものみの塔の国連への協力が承認されたことを確認しています。特に興味深いことは、ヘッフェル氏が、「DPIへの協力を受け入れることにより、ものみの塔協会は、国連憲章の原則への支持と尊重を含む参加への必要条件に同意してきた」と述べていることです。しかし、最も驚くべき事実は、ものみの塔協会が今月、突然、国連に対しNGOとしての協力を停止したいと申し出たことであり、その希望により、国連のDPIは10月9日付けでものみの塔協会をNGOから離脱したということです。この手紙の全体はファックスのコピーで読むことができます。

実際、国連のウェブサイトでは、NGOの国連への協力への条件として次の四項目を挙げています。

  1. 国連憲章の理想を共有すること。
  2. 運営は非営利な基盤にのみ基づくこと。
  3. 国連に関する問題に明らかな興味を持ち、教育者、報道関係者、政策遂行者、商業関係者などに呼びかける能力があること。
  4. ニューズレターや広報やパンフレットを出版したり、カンファレンスやセミナーを主催したり、報道機関を動員したりして、国連活動に関する効果的な情報プログラムを行う義務と能力をもつこと。
(詳しくはNGOs AND THE UNITED NATIONS DEPARTMENT OF PUBLIC INFORMATIONを参照下さい。)

今回のものみの塔協会の、突然としての国連協力機関からの脱退の事実は、そのまま、陰で十年間も平気で『七つの頭と十本の角を持つ野獣』に『娼婦』として『不義の関係』を持って来たことが、ものみの塔協会にとっていかに後ろめたいことであった事かを物語るものでしょう。それは丁度、賄賂をもらってきた政治家が、その事実が報道機関によって明らかにされると、途端にその賄賂を返済し、手を洗っていかにも自分は潔白であることを証明しようとするものでしょう。最近の児童性的虐待問題の場合と同様、ものみの塔協会の根本からの腐敗を見事に物語る事件と言えるでしょう。

なお、この事実は、10月15日のイギリスの新聞、ガーディアンによって「『偽善』エホバの証人、国連との秘密の関係を放棄」('Hypocrite' Jehovah's Witnesses abandon secret link with UN)という表題の記事で大きく報道されています。全体の記事は記事のイメージを参照下さい。

今回の事件は、ものみの塔協会の二つの大きな問題点をエホバの証人の社会に提起していると言えるでしょう。その第一は、日頃から国連に協力する他の宗教を「『緋色の野獣』と『不義の関係』を持つ『娼婦』」として最大限の侮蔑の言葉で攻撃してきたものみの塔協会自身が、実は自分も娼婦の仲間に入っていたことです。そしてその第二は、『国連憲章の原則への支持と尊重』という明らかに偽りの約束を、ものみの塔協会が国連に対してしたことであり、これまでにも明らかにされた「ウソに塗られたものみの塔協会」の根本体質を追及する動きが今後広がる可能性を示唆しています。


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