オリンピックの金メダルを誇るエホバの証人

シドニーオリンピックも終わりに近づいていますが、テニスのアメリカ代表選手で女子ダブルスの金メダルに輝くビーナス・ウィリアムスとセリーナ・ウィリアムスの姉妹がエホバの証人であることをめぐって、アメリカのエホバの証人、元エホバの証人の間ではちょっとした議論が沸いています。ウィリアムス姉妹は、ウィンブルドン、USオープンなどを制覇し、現在アメリカの女子テニス界でトップを競う有名選手ですが、ここでは多くの報道機関が報じてきた、ウィリアムス姉妹の行動と、それに対するアメリカのエホバの証人の戸惑いを紹介しましょう。

報道機関の情報を総合しますと、ウィリアムス家では、母親と二人の姉妹はバプテスマを受けたエホバの証人ですが、父親は信者ではありません。姉妹は熱心な父親の指導でテニスの腕をあげましたが、エホバの証人として集会への出席と奉仕もかかさなかったという話は、本人たちへのインタビューで語られています。しかし、テニスの試合のスケジュールが重なり、旅行が多くなり、知名度があがるにつれて、野外奉仕は出来なくなっていることも事実のようです。

最近エホバの証人の間で問題になっていることは、ビーナス・ウィリアムスが金メダルをもらう為に表彰台に上り、アメリカの国旗掲揚と国歌の演奏に参加したこと、更にはアメリカ国旗を掲げて会場を一周するという行動にまで出たことでした。これを見た多くのアメリカのエホバの証人は、ウィリアムス姉妹がエホバの証人であることは嘘であろうという見方をしてきました。しかし報道関係者の詳細なインタビューでバプテスマを受けたエホバの証人であることを知ると、今度は困惑の色を隠せないようです。すでにオリンピックに参加する前から、たとえばウィンブルドンでは優勝カップにキスをする姿が大きく新聞に報道され、多くのエホバの証人の顰蹙をかっているようです。

エホバの証人の有名人が余りに有名になりすぎて、ものみの塔協会から処分を受けた例では、マイケル・ジャクソンの例が有名です。彼の場合も熱心なエホバの証人の母親に育てられて、初めは彼もものみの塔協会に多額の寄付をして、組織も彼を擁護したそうですが、やがて映画や歌の内容がエホバの証人としてふさわしいものでないものになるにつれ、ものみの塔協会はマイケル・ジャクソンとの関係を否定するようになりました。ウィリアムス姉妹の場合、テニスに参加することは、マイケル・ジャクソンの歌や映画と違って大きな問題ではないかもしれません。しかしどうしても避けられないのは国旗と国歌の問題でしょう。一般にものみの塔協会は、輸血にしても、隠れて行われた行動は穏便に済ます傾向がありますが、報道機関を通じて世界的に有名になると放置しておくわけにもいかず、ウィリアムス姉妹に対してのなんらかの処置がとられるのではないか、というのがアメリカのエホバの証人の間での見方です。

(9-30-00)


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