ヨーロッパにおけるものみの塔の混迷続く−フランスとドイツ
エホバの証人たちは協会により選挙人登録の指示を受ける

先のニュースで述べたように、フランスのエホバの証人は、フランス政府が彼らをカルトとして「公認」し、非営利宗教団体の待遇を認めなくなったことにより、巨額の税金を課せられましたが、その後、フランスのものみの塔協会はその対応に苦慮しています。彼らはフランスに最近作られた大きな印刷工場を閉鎖し、その印刷業務をすべてイギリスの工場に移しました。更にごく最近のフランスからの情報では、フランス政府はものみの塔への税徴収にに踏み切り、ごく最近落成したばかりのフランスのものみの塔本部(ベテル)は、フランス政府により、税金の抵当として封鎖され、ベテライト(本部職員)はその職をとかれ、各自の自宅に戻されました。

ごく最近の、7月1日号のものみの塔誌、26頁では、昨年11月に行われたフランスのベテルの献堂式が華々しく報道され、フランスに広範に広がるエホバの証人に対する反対運動に対する勝利のような印象を持ったのは、読者の記憶に新しいところです。この記事では、このベテルの建築に当たって、フランスの報道陣が行った様々な反エホバの証人キャンペーンや、ベテル建築阻止の署名運動などがあったにもかかわらず、ついに完成できた施設であるとして、ものみの塔の誇りがありありと描かれています。ニューヨークから統治体のロイド・バリーとダニエル・シドリックの二人が記念講演を行い、「フランス全土でエホバの証人に敵意が示され、長期にわたって証人たちに対するメディアによる中傷的な報道がなされている時期にこの献堂式が行われようとしていることを考慮すると、フランスの証人たちはすべてこの勝利の祝いにあずかってしかるべきだ」と書かれています。しかし何とその後、一年も経たないうちに、この施設はフランス政府に税金の抵当として封鎖されてしまったのでした。

フランスのエホバの証人からの報告によると、現在、王国会館や大会ホールにも封鎖の手が延びる恐れがあり、その前にこれらの不動産をものみの塔協会から、個人の登記に変えて税の取り押さえをまぬかれようという努力が行われているそうです。

一方ドイツ政府も、近年、サイエントロジーなどの破壊的なカルトに対する取り締まりを強めて来ましたが、最近、エホバの証人に対してもその手をのばし、ものみの塔協会の「公共団体」としての地位を剥奪しました。これは昨年のサイエントロジーに対する処置に続くものです。ドイツにおける課税措置がどうなるかが注目される所です。

これらのヨーロッパの国々で、エホバの証人をカルトと規定する大きな理由は、マインド・コントロールの他に、投票、徴兵、輸血の三大拒否の方針が大きな比重を占めています。ものみの塔もこの事態をいち早く察知し、「輸血を受けるのは自由意志」とブルガリア政府に約束したことは先のニュースで述べた通りです。更に、最近のフランスとドイツのエホバの証人からの報告によりますと、各地の会衆で、証人たちは選挙人の登録をするように、口頭で指示されたそうです。近い将来、選挙における投票が表向きだけでも、輸血と同様、個人の自由となる「新しい光」がまた発表される可能性が出てきたという見方が広がっています。

歴史的に見て、ものみの塔協会はその組織の拡大と維持のためであれば、各国政府と表向きの妥協を繰り返すことは、有名なメキシコの例にも現れています。メキシコでは、エホバの証人が宗教団体として公認されなかったため、「文化団体」と称して活動を続けた歴史を持っています。更に同じメキシコでは、徴兵をまぬかれるために、兵役終了の証拠となるカードを官吏を買収してまで、エホバの証人の男子に持たせたこともありました。今後、ヨーロッパで追いつめられたものみの塔の必死の巻き返しが行われることが予想されます。

(9/5/98)