ものみの塔協会は児童性的虐待者問題を内部告発したエホバの証人たちを次々に排斥する

ものみの塔協会が、各地の会衆内部で行なわれている児童性的虐待の実態を知りながら、それを隠しつづけてきた事件は、このニュースの欄でシリーズでお知らせしてきましたが、アメリカNBC放送やニューズウィーク誌の報道に続いて、イギリスBBC放送のニュースショー番組パノラマでも、イギリス国内で起こっている児童性的虐待問題を大きく取り上げました。このBBC放送の番組のトランスクリプトはこのリンクで読むことが出来ます。

このように世界各地で世論の反響が高まる中、ものみの塔協会は内部告発したエホバの証人達を次々に排斥する動きに出ました。NBCニュースのインタビューで中心的役割を果たした、ウィリアム・ボーエン氏と、バーバラ・アンダーソンさんは共に排斥され、アンダーソンさんの排斥に対して質問状を送ったアンダーソンさんの夫であり長老であるジョー・アンダーソン氏も、バーバラさんの排斥のすぐ後で排斥になりました。

これにより、ものみの塔協会が、反省や謝罪の意を表すのではなく、あくまでも内部批判に対して力で弾圧をかける方針に出たことが明らかになりました。この事件に連座した、他の現役のエホバの証人にも弾圧の嵐が広がる可能性が出ています。この点で興味あるのは、同じ児童性的虐待問題の内部批判にさらされている、アメリカのカトリック教会の態度との比較です。カトリック教会では最初からこの問題にほとんど公開で取り組み、内部での対策を検討する議論が、連日のように報道され、どのような処罰と改善策を取るべきかがカトリック指導部で議論されています。ここでは指導部を内部批判する人たちと、批判されて対策を苦慮する人たちの議論は、大々的に公開されています。議論はあくまで今後の防止策に関するもので、批判者をまず弾圧するという態度は見られません。これに対し、ものみの塔はあくまでそのような問題があったことを否定し続け、その問題を明るみに出した者を直に首を切って、何事も無かったかのように今までの組織の運営を続けるという態度です。同じ問題に直面しながら、ものみの塔とカトリック教会とでは全く正反対の対応をしていることが分かります。

ものみの塔協会が内部に山積する問題をカトリック教会のように素直に認めずに、否定しきって批判者を切り捨てることにより、この事態を切り抜けようとするには、それなりの理由があります。それはものみの塔協会は「エホバの組織」であって、内部から改革されたり批判されたりする筋合いのものではないと信じられているからです。「エホバの組織」であれば、たとえどんなに腐敗していても批判は許されず、エホバ自身が正すのを待つしかないことになります。従ってものみの塔協会は腐敗がどんなに進んでも、内部批判をする者に対しては、その批判がどんなに適切なものであっても、彼らを弾圧して切り捨てるしか選択がありえないのです。これは丁度、第二次世界大戦前の日本で、少しでも天皇陛下に批判的言動を示したものが不敬罪という罪状で処罰されたのと同じことです。ものみの塔協会は、戦前の天皇と同じように「神懸り」であるが故に、批判が許されないのです。

今後の課題ですが、この実態を世界的に更に広範に知らせていくことが益々重要となってきました。「義のために排斥された」ボーエン氏やアンダーソン夫妻らの元エホバの証人を全面的に支援すると共に、エホバの証人のこの知られていない実態の情報を広く伝えることが重要です。「エホバの証人とは、聖書によってエホバに献身する人たち」という単純な理解はエホバの証人の内外に広く行き渡っていますが、実際には、「エホバの証人とは、ものみの塔協会に対し、戦前の天皇に対するのと同じ態度で神懸りの組織として盲従する人たち」という定義が最も当てはまることを、組織の内外に広く知らせる必要があります。末端のエホバの証人たちは、このような実態を知らされず、自分はただ「聖書によってエホバに献身している」と思い込んでいることが多いからです。

最後に、バーバラ・アンダーソンさんの夫で長老であった、ジョー・アンダーソン氏が組織に宛てた手紙の中の一節を次に翻訳して紹介いたします。これを読むといかに、ものみの塔協会が一世紀当時の腐敗していた教会と同じであるかがわかるからです。

もし、バーバラが分裂を引き起こしたことによって排斥されたのなら、使徒パウロも群れに分裂を引き起こしたことで排斥されなければならなかったはずです。パウロはコリントの会衆で起こっている性的不品行を明るみに出したからです。パウロはコリント会衆がその中で行なわれている性的不品行を隠していることに言及しただけでなく、彼はその非難を聖書の中に記載し、その後2000年の間に無数の人に読まれるようにして公表しました。なぜ、パウロが会衆内に隠れて行なわれている汚らわしい行いを公に明らかにしたことが許されるのに、私の妻が、組織が汚らわしい行いをする人々を間違った方針で隠してかばってきたことを公に明らかにした時、彼女は罰せられなければならないのでしょうか。

ものみの塔に忠実なエホバの証人は、このアンダーソン長老の疑問に対し、真剣に答えを考えるべきでしょう。

(7-28-02)