アメリカNBC放送はエホバの証人の児童性的虐待者の問題を放映

アメリカ全米ネットワークのNBC放送は、その人気ニュースショウ番組のDateline NBCで、エホバの証人の間に蔓延する児童性的虐待者の問題を約30分のニュースドキュメンタリーの形でアメリカ全土に放映しました。この番組は昨年から時間をかけて取材を繰り返して作り上げたもので、NBC放送の5月28日の夜10時から放映されました。

この中では、何人かのエホバの証人の被害者へのインタビューと、現役の長老や、ブルックリンの本部で全国の会衆の記録を保管する人々が、いかに多くの犯罪者が組織の中で穏便に処理され、警察に通報されないだけでなく、会衆の誰にも知らされず、その結果被害者が増えてきたことを証言しています。ブルックリン本部のファイリングキャビネットには、そのような犯罪者の記録が全て保管されているのですが、これは一切司法機関に報告されたことはないのです。

このような事実は既に、一部のエホバの証人には知られていましたが、アメリカ全土で一斉に放送される人気ニュース番組で本格的に取り上げられたことで、問題は一気に公の情報となったようです。特に実際の取材で内部文書や記録を映像の形で取り上げたり、子供に性的虐待をした長老が、警察に通報もされなければ排斥もされず、家から家への伝道に歩いている姿をNBCのカメラが捕らえた場面は、ものみの塔の内部の犯罪者の隠蔽の実態を迫力を持って訴え、説得力のある内容となっています。

そして番組の最後で、司会者が、この番組の取材に協力したエホバの証人たちは皆、排斥の危険にさらされていると付け加えたことは、ものみの塔協会がこの問題で素直に反省の姿勢をとることなく、内部の矛盾を告発するものをあくまで力で制圧しようとする姿勢を持っていることを視聴者に暗示しているようでした。実際、この告発の中心的な役割を果たしたケンタッキー州の長老、ビル・ボーエン氏とニューヨークのべテル本部のバーバラ・アンダーソンさんは、つい最近会衆の審理委員会から呼び出され、現在審理が進行中で、排斥される可能性が高いと言われています。

今までにも何回かアメリカの全米放送でエホバの証人の問題を取り上げた番組はありましたが、これまでは元エホバの証人への取材が大部分で、現役のエホバの証人が何人もカメラの前で堂々とものみの塔協会を批判したのはこれが始めてであり、その意味でもこの番組は画期的なものと言えるでしょう。これらの勇気ある批判的なエホバの証人たちが今後組織によってどのように処分されるか、注目したいと思います。ものみの塔協会がこれらの内部告発をした証人たちを排斥処分にすれば、そのことは直に公になり、ものみの塔協会の態度が問われるでしょうし、もしこれらの証人を排斥しなければ、彼らを中心としての内部告発は続くでしょう。いずれにしても、今後もこの腐敗した組織の膿を絞り出す活動は続くことと思われます。今後この番組のトランスクリプトが出るようでしたら、日本語訳を作成して掲載したいと思います。

なお、この問題に関しては以前に書かれた「エホバの証人の世界に蔓延する児童の性的虐待事件(Child Sexual Abuse)」の記事も参照して下さい。 (5-28-02)


ニュースインデックスに戻る