グルジア共和国でロシア正教会のメンバーがエホバの証人の文書を焼却する

AP通信社の報道によりますと、去る3月28日、旧ソビエト連邦、グルジア共和国の首都トビリシの近郊で、ロシア正教会のメンバーが当地のエホバの証人の文書を野外市場で燃やして気勢をあげました。当地のエホバの証人の話によると、ロシア正教会のメンバーたちはエホバの証人が集会に使っていたアパートに押し入り、宗教上の書籍や雑誌を盗み出し、それを市場に集めて火をつけて焼いたそうです。当地の警察はそれを見ながら、介入をしなかったと伝えられています。同じグループは三月の始めにも、エホバの証人の印刷所に押し入り、文書を盗み出して焼却したと当地の報道陣は伝えています。また同じグループは、バプテスト関係の文書についても同じことを行ったと言われています。ロシアの首都、モスクワ市では二月にエホバの証人の宗教活動は公認されることになりましたが、グルジア共和国では、最高裁はエホバの証人を公式の宗教と認めることを却下しています。

この事件はこのJWICでも何度か論じられてきた事柄に関係します。すなわち、もしエホバの証人の宗教が間違っており、「悪」であると認識した場合、それに対して物理的な力や、違法行為をもって立ち向かうことは容認されるか、という問題です。明らかにロシア正教会はこの事件でこれを容認しました。日本でも幾つかのキリスト教会の指導者は、信者本人の意志に反したエホバの証人の監禁を「保護」の名の下に容認しています。

このように、既存するキリスト教会がエホバの証人に対して脅威を感じる余り、このような行動に出ることは大きな危険をはらむものであるとJWICは考えます。歴史的に見て、文書や建物を破壊して宗教の間違いが明らかになった例があるでしょうか。ナチスにしても共産国家の宗教弾圧にしても、古代中国の焚書坑儒にしても、このような行為は表面的には信者の士気を鈍らせるでしょうが、長い目で見れば、迫害による彼らの被害者意識を高め、周囲の同情を集め、自分たちが正当であるという意識を助長するでしょう。歴史的に見て、言論や思想を物理的な手段で弾圧する動きはことごとく失敗してきました。文書を発禁にしたり燃やしたりすることは、人々の好奇心を不必要に高めるだけに終わります。

ものみの塔の矛盾と組織の腐敗を明らかにするのは、何よりもその出版物を徹底的に調べることであると言われています。JWICは一貫してその出版物の情報を調べることを提唱してきました。出版物を破壊するという行為はこれに全く逆行する行為であり、ものみの塔に対抗しているキリスト教組織の挫折感の感情的な発散にしかならず、長期的に見ればものみの塔宗教の成長を援助することになるでしょう。ロシア正教会はその一部のメンバーによるこのような盲動を糾弾し、物理的な力を使うことをやめて言論と情報を使ってものみの塔に対抗していくべきでしょう。

(4-6-01)


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