ものみの塔協会の記念式対策
(ものみの塔誌1998年2月15日号)

最近のエホバの証人の1997年度の世界統計の解説にも述べましたが(「エホバの証人の世界統計」を参照)、この十年間というもの、記念式で表象物にあずかる「天的級」あるいは「油塗られた者の残りの者」のエホバの証人が世界中で約8000人を数え、ものみの塔協会の教義と予言にもかかわらず、一向に減る気配がありません。(この信者を二階級に分ける教義に関しては 教義第二部のページを参照して下さい。)1914年のイエスの見えない再臨の後、この世界は「終わりの日」に入り、直ぐにでも来るハルマゲドンに向かっているという彼らの教義の中では、14万4千人のエリート級のエホバの証人のうち、まだ生存している者たちは、この間に直接天に上げられて減っていき、それがハルマゲドンが近づいている徴であるというのが教義でした。1935年以後、「天への門は閉ざされ」新たなエリート級のエホバの証人は出てこないはずでしたが、何とこの数は彼らの予言に反して一向に減少しません。ある年は奇妙なことに増加しているのです。

この事態は、エホバの証人でなくとも「一体どうなっているのだろう」と気を揉ませ、この教義に変更が来るのでは、という予測が立てられていました。この2月15日のものみの塔誌、17頁の研究記事「神の子供のために間もなく実現する栄光ある自由」は、この問題に直接触れ、一般のエホバの証人は表象物(ぶどう酒)にあずからないように、はっきりと警告を出しています。22頁には次のように書かれています。

以前に抱いていた宗教上の見解、愛する者の死から来る強い感情、地上での今の生活と結びついた苦難、エホバから特別な祝福をうけたように感じることなどが理由で、自分は天的な命に召されていると誤解する人がいるかもしれません。しかし、わたしたちは皆、次のことを忘れるべきではありません。つまり聖書は、キリストの贖いの犠牲に対する感謝を示すために記念式の表象物にあずかるようにとは命じていないのです。さらに、霊によって油をそそがれることは、「願う者にでも走る者にでもなく、ただ・・・・神にかかって」います。神はイエスを霊的な子として生み出された方であり、他の14万4,000人の子らだけを栄光に導かれます。(ものみの塔1998年2月15日22頁 強調は引用者による)
つまり、ものみの塔協会の予言が実現せず、「油塗られた者の残りの者」の数が彼らの教義通りに減っていかないのは一部のエホバの証人が感情的になって「誤解する」結果であるというのです。この研究記事は4月11日に予定されている今年の記念式の前の週にあわせて世界各地の王国会館で研究されるように予定されています。従って、ものみの塔協会がこの記事によって一般のエホバの証人が「誤解」してぶどう酒を飲むことのないように指導を徹底し、それによって自分たちの予言を強引に実現しようという意図は明らかです。そもそも聖書の主の晩餐では、イエス・キリストは、「あなた方はみな、それから飲みなさい」(Drink out of it, all of you)(マタイ26:27)と言っており、どこにも、「14万4千人の油塗られた者、その者だけは飲みなさい」とは決して言っていません。神の前に全ては平等であるはずのクリスチャンを、特権階級の14万4千人と「その他大勢」に分けて、自分たち指導部の特殊な支配権威を正当化するものみの塔の教義はここでも破綻を来し、せっぱ詰まった対策を強いられています。誰が「油塗られた者」であるかは人間ではなく、神が決めるはずであるのに、この記事では、そのようにして「油塗られた者」は「誤解する者」であるとして、それらの人々が表象物にあずかることを人間の指図により阻止しようとするのです。聖書に基づかず、人間の指導部が作り上げた教義と予言は、人間の指導部の力で実現させざるを得ません。この、自分たちで予言を作り上げ、それを自分たちの力で実現するというやり方は、最近日本の地下鉄で起こったある宗教団体の予言実現のための作戦と似ていると言えないでしょうか。

もしあなたが近くの王国会館で今年4月11日の日没の記念式に参加するのであれば、次のことを考えて表象物にあずかるか(まわって来たぶどう酒を飲むかどうか)を決めて下さい。イエスの血を象徴するぶどう酒を飲むか飲まないかは協会の指導部が指図するべき問題なのでしょうか、それともあなたとイエス・キリストとの誰も干渉できない関係によるのでしょうか。もしあなたがイエスと共に天において一緒になりたいというクリスチャンとしての当然の、また究極の希望があるなら、たとえ協会が何と言おうとあなた自身が聖書と祈りに基づいて決める問題でしょう。自分のその希望が確かであれば、そこには「資格」はありません。どうかあなたもぶどう酒を飲んで、イエスと天で一緒になる希望を堂々と表明して下さい。 (1/30/98)


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