毎年恒例の医療上の宣言および継続的委任状の書換は今年は中止される

ものみの塔協会は2001年12月20日付けでアメリカ各地の会衆に手紙を出し、既に2001年の6月に配布してある新しい「医療上の指示」カード(いわゆるblood card)を全て破棄してエホバの証人に配布しないように指示しました。この結果、今年度はこれに伴う医療上の宣言(いわゆるadvance directive)と継続委任状(いわゆるpower of attorney)の書き換えは行われないことになりました。何らかの理由で新しい書類が必要なエホバの証人は、1999年3月に配布された古い版のものを使用するように指示されています。また、日本の会衆でも、同じような指示が日本支部から出され、新しい書類は破棄され、恒例の書類更新は今年は中止されました。

本年一月に配布される予定だった新しいカードは、全ての会衆が受け取ったわけではありませんが、一部の会衆では配布されており、ちょっとした混乱が広がっています。この新しいカードと古いカードとを比較すると、最も重要な違いは次の点です。

つまり、毎年恒例の書き換えの集会を控えた直前に突如廃棄されることになったこの新しいカードでは、1999年3月版のカードと比べて、全ての輸血一般を拒否するのではなく、単に「同種血輸血」を拒否するという内容に変わっていたのでした。この変更は何を意味するでしょうか。同種血輸血というのは、自分の血を自分に輸血する自己血(autologous blood)輸血と対照する概念として、同じ種(人間)からの血による輸血という意味で使われる言葉です。一般に「輸血」と言えば、大部分の場合は同種血輸血になりますので、この言葉は一般には広く使われません。そのような用語をあえて使うのは、自己血輸血を拒否の対象から外すための言い回しです。従って端的に言えば、今回破棄された「医療上の指示」は、そのまま、それまでは禁止されていた自己血輸血を公式に解禁するものとなるはずでした。

この新しい輸血拒否の方針が、なぜこのような最後の最後の段階で突然世界的に破棄されたのかは、今の所わかっていません。推測される可能性としては、統治体が一たん自己血輸血の解禁を承認し、昨年6月の段階ではこれを新しい書類として用意し、本年一月に公表する予定にしていたのが、統治体内部での突然の変心あるいは意見の対立の結果、やむなくこの新しい方針の破棄に追いやられた、ということが考えられます。実際医療現場では、エホバの証人の多くが既に自己血の輸血を、血液希釈やセルセーバーの方法によって行っており、「貯蔵」をするかしないかという漠然とした概念で拒否をするかしないかを一般のエホバの証人が判断することはますます困難になっていました。その点で、この破棄された新たな「医療上の指示」はこの問題点を簡素化する可能性がありました。しかし理由はともあれ、これは破棄され、エホバの証人は以前と同様の、曖昧模糊として一般に人には判断できないような、自己血に関する複雑な規則を今後も守りながら、生死の境をさ迷い続けることとなっています。 (1-13-02)