エホバの証人女性の分娩時出血による死亡率は一般女性の44倍−アメリカ産婦人科学会誌の研究結果

ものみの塔協会が決めた輸血拒否の方針により、どれだけの数のエホバの証人が輸血を拒否して死んでいくのかは、宗教に原因する死者の数の統計の一つとして、注目されてきました。しかし、これを科学的、客観的に調べることは、方法の上から非常に困難で、推測の域を越えませんでした。これに関しては、「ものみの塔の輸血拒否方針による死者の数の推測」の記事も参照下さい。

アメリカ産婦人科学会の機関誌であるAmerican Journal of Obstetrics and Gynecologyは、ニューヨークのマウントサイナイ・メディカルセンターでのこれに関する研究結果を2001年11月の誌上で公表しました。これによりますと、1988年1月から1999年12月までの11年間に、332人のエホバの証人の女性がこの病院で、のべ391回の分娩を行ないましたが、このうち24人が分娩時の大量出血を起こし、そのうちの二人は最善の無輸血治療の甲斐も無く死亡しました。この死亡率統計は、輸血拒否をしない一般女性の死亡率、10万回の生存出産に対し12人の母体死亡、に比べると、エホバの証人は10万回の生存出産に対して512人の母体死亡という、何と44倍という高率の死亡率になると論文は伝えています。

この論文の注目すべき点は、マウントサイナイ・メディカルセンターという最先端の無輸血治療を行う病院で、エホバの証人の輸血拒否の意志を最大限尊重して無輸血治療を行ったにも関わらず、44倍という高い死亡率が出たことでしょう。これらの死亡例を分析した研究者は、出産前のエリスロポエチンの使用(これはものみの塔協会が無輸血治療の大事な方法として常に強調してきました)による増血による予防は、これらの例ではほとんど効果が無かったことを指摘しています。これらの死亡例はいずれも急速大量の失血により死亡しており、無輸血治療では追いつかず、輸血以外に救命の方法はありませんでした。

この論文は、ものみの塔協会の輸血拒否の方針に基づく死亡率の計算を目的としたものではありませんが、それでも分娩という出血性の合併症が非常に多い状況での輸血拒否によるエホバの証人の死亡の実態を、かなり正確に数字であらわしたものと言えるでしょう。この論文の趣旨は輸血拒否に反対することではなく、むしろエホバの証人の女性患者に対して子宮摘出を含むより積極的な治療が必要であることを訴えるものですが、しかし見方を変えれば、ものみの塔宗教が信者をその教義によって死に追いやっている規模を、具体的な研究と数字で示したものとして注目されます。 (1-10-02)