今後どうしたらいいのでしょう−現役研究生(二世)より

(12-20-99)

 はじめまして。私は26歳の女性です。私の母は私が1歳の頃バプテスマを受けま
した。父も私が幼い頃は一度研究をしましたが、仕事が忙しくなった事や長老との不
仲の為、勉強を辞め、今は沢山の本を読んだので組織に反対する立場を取っていま
す。

 私は4人姉妹の2番目で、ずっと母に連れられて2世として会衆に所属していまし
たが、
姉が高校受験を理由に離れたため、以下3人も同じくらいの時期に次々と離れていき
ました。私は高校生のとき知り合った人と「淫行」を犯し、子供が出来たため結婚し
ました。母はとても心を痛めた様子でした。
 妊娠中にある姉妹が私の家に偶然に奉仕で訪ねてきました。その前日私の結婚写真
を母からみせられていた姉妹は、「エホバの導きだからぜひ研究しましょう。」と誘
いました。断る理由もなかったし、悲しませてしまった母を喜ばせられると思い、応
じることにしました。
 研究が始まりましたが、二世の特徴で、完璧な答えを出す事は簡単でしたが、心に
響くものがありませんでした。その姉妹とは3年半研究しましたが、何の成果もない
まま転居することになりました。
 移転先でも新しい司会者と研究が始まりましたが、その当時「知識」の本を半年で
終わらせることが勧められていたため、すぐに研究が終わり、私の2人目の妊娠も
あって、進歩はなかなかできず、書籍研究だけ参加していました。しかし、司会者の
姉妹はとても親切で暖かく私と
子供を励まし見守って下さったので、「この人の努力に報いたい」と思うようになり
ました。子供も集会に行くとみんながかわいがってくれるので、居心地が良いようで
した。
 ところが今度は、司会者の姉妹が引っ越す事になり、私は一人取り残される気分で
落ち込みました。そこで、エホバに「私はこれからどうすればいいのでしょう?」と
祈っていた時、2人の姉妹が訪ねて来ました。司会者の姉妹が私を彼女達にお願いし
て行ってくれたのです。祈りを
聞かれた思いと、心配してくださった司会者のために、頑張ろうと思って、主人の反
対を押し切り、すべての集会に出席しはじめました。
 
 すると、主人がすぐに不倫をしました。援助の姉妹達に相談すると、これはサタン
の罠で、あなたの1番弱いところを突いてきているから、こういうときこそもっと進
歩しなさい、と励まされました。私は本当にショックで、自律神経失調症になりまし
たが、「お前の宗教のせいで俺は子供と引き離されて寂しい思いをしてるんだ!お前
が辞めれば俺も辞める。」という主人の気持ちにさえ背を向けて、神権宣教学校へ入
校し、すぐに勢いにまかせて伝道者になりました。確かに、会衆ではみんなが私の進
歩を喜んでくれ、褒め励ましてくれましたが、主人は仕事柄、日曜日だけしか休みが
なく、その日曜日は子供がいないという事に本当に辛い様子で、本当は子供や私を愛
してくれていると分かるのですが、
反発するように、2人目の女性と付き合うようになりました。私もその事に傷つき、
良心の呵責に悩む日々でした。

 そんな中、思いがけず3人目の子供を妊娠しました。主人はそれを機に不倫をやめ
てくれました。今までと同じ平和な日々に戻り、日曜日には嫌々ながらも集会の送迎
までしてくれるようになりました。妊娠後期から奉仕は控え、子供を出産しました。
姉妹達は3人目の誕生を喜んでくれましたが、「出産と運転免許は霊的に1番弱らせ
るから、気をつけて!」と言われました。そうかもしれません。集会に戻ったのは、
2ヵ月後、奉仕にはなかなかでられなくなってしまいました。

 その辺りから、自分はどうして組織の指示どおりに進歩できないんだろう?提案通
りに行動できないんだろう?のべ伝える事に恥ずかしさを感じるんだろう?と自問す
るようになりました。心の中で、集会に出ていない時の家族での楽しい時間を大切に
思うようになっていたからです。元来自分が掃除などが苦手で、その上3人の小さな
子を育てつつ、週3回の集会に行く事は至難の業でした。家族を大切に思ってくれて
いる主人に申し訳ない。でも、会衆の人も私達親子を助けてくださり、引っ越してし
まった司会者の姉妹も週に一度位、私と子供宛に2通の手紙を通して励まして下さ
る。いまさら辞めるなんて言えない。・・・そういう気持ちに悩まされていました。

 父から色々な組織の間違いについて聞かされていました。そしていつも、「自分で
考える力を失うな。エイッと飛び越えた時、それはお前の思考力が止まった時だ。」
と私を踏みとどまらせました。そんな中で、私は真実は何かを知りたい、父の言う事
が本当なのか、組織は本当に神の組織なのか知りたいと思い、インターネットや父の
持っている本を片っ端から調べました。そして、今非常に動揺しています。

 この12月から、会衆は私を自立させる目的なのか、今まで援助してくれた夜の集
会の送迎をしてくれていた姉妹と私達家族の「群れ」を分け、自分で集会に来てくだ
さいといわれました。今まではどんなに大変でも、とりあえず車に乗せてもらえさえ
すれば行けたけど、今度は泣く子を無理やり車に乗せてでも、自分で行かなければな
りません。そんなことは、信じきっている人には当然の事ですが、疑問のある人間に
とっては辛いだけです。今の気持ちのままでは、とても集会にはいかれないと思っ
て、休んでいます。携帯には励ましのメール、家にいれば姉妹が心配して訪ねてきた
り、電話をしてきたりするので、実家に朝から夕方まで避難しています。まだ自分の
気持ちを姉妹に話せる段階ではないし、話せば私が「背教者の文書」を読んだ危険な
人物になってしまうからです。
 私が一番動揺したのは「説得」という輸血拒否の本です。事が古いので、今はあの
ような不手際がないように、組織の方は準備していますが、集会で「医療委員会」の
兄弟が、経験談(ある若い兄弟が、病気で輸血拒否した為、死に至る前日、会衆から
離れた同年代の人たちを病室に何人も呼び、遺言としてもう一度組織に戻るように
熱っぽく語った、というもの。)を聞いた姉妹達が、泣きながら「いいお話ねー。」
といっていたのを見て、私は鳥肌が立ちました。何故そこまで信仰を持てるんだろ
う、と不思議でした。3人目の出産の時も、会衆の人から輸血拒否の立場を医師に示
しておくように、と言われましたが、結局できませんでした。だから、「説得」を読
んで、やっぱり私には子供に輸血を拒否して死ねとは言えないという結論に達してし
まったのです。

 ここまで書いてきて、私は聖書や神に信仰があるわけではないことが判ってきまし
た。会衆というコミュニティーから離れる事が怖いのです。少子化の今、小さな子を
連れてきているのは、私ともう1人の研究生だけです。その人も2人の子を連れてく
るのに大変らしく、なかなか集会には出てきません。だから、家の子は会衆のマス
コットで、本当に可愛がってくれ、愛されています。会衆の人たちが子供達のことを
どんなに心配しているかと思うと、辛くて涙がでます。子供が「お母さん、集会に行
こうよ。」というので、私はこの子達から真理を奪っているのか、もうすぐ来るハル
マゲドンでこの子達が苦しみながら死んでいくのを私は目の当たりにするのか、と思
うときもあります。会衆の人たちの動機には何の曇りもありません。だからつらいの
です。
 面識もない人にこのようなメールを送って、本当に失礼だと思いつつ、今後私はど
のように存在していけばいいのか、全く見失ってしまったので、送信させていただき
ます。ちなみに母は、とても悲しんでおり、このことには触れたくない、組織の忠告
を聞かなかった自分が悪いと言っています。父は私と母に挟まれ、急に責任を感じた
のか、「聖書の教えはいいものだし、もう少しゆっくり結論を出したら?」と言って
います。
主人はもちろん大歓迎ですが、私の心の中までは考えていないので、最近の宗教のお
金や殺人などの問題と、ものみの塔の問題を一緒にして、「だから宗教はダメなんだ
!」などというので、反発したりしています。
 私はまだ他の宗教は「大いなるバビロン」だと思っています。ですから、他の教団
とコンタクトを取れる状態ではありません。これは「マインド・コントロール」なの
でしょうか?
 脈略のない乱文で失礼しました。公表して頂いても構いません。とにかくお返事を
お待ちしています。

《編集者より》
お便りありがとうございます。お返事が遅れたことをお詫びします。私はあなたがこの長い手紙の中で自問自答して、ある意味で自分で答えを出しておられると思います。それは、あなたの「ここまで書いてきて、私は聖書や神に信仰があるわけではないことが判ってきました」という一文です。そして「会衆というコミュニティーから離れる事が怖いのです」という要約です。私はあなたは典型的なエホバの証人二世の心理を持っていると思います。あなたはエホバの証人という閉鎖的なコミュニティーの中で育ち、その快適さから離れることが恐いがために、自分で本当に納得がいかなくとも何となく習慣的にエホバの証人を続けているのではないでしょうか。私はあなたがエホバの証人を離れ、しばらく組織を外側から見て研究してみると同時に、エホバの証人以外のコミュニティーの空気を吸って、エホバの証人以外の世界にも暖かい人間の触れ合いがあることを発見されることをお勧めします。あなたの「聖書や神に信仰があるわけではない」という結論は今の所その通りですが、これは将来変わることがあることを覚えておく必要があると思います。なぜなら、あなたが信仰をもてなくなった「神と聖書」はあくまで、ものみの塔協会というフィルターを通してあなたに与えられたものでしかないのです。ものみの塔のフィルターをとって聖書と神、イエス・キリストに直面した時、あなたの見方、信仰は変化する可能性は充分あります。今はそのフィルターを取り除くことは困難でしょうが、その可能性の芽をつみとることのないように、気をつけて下さい。またあなたの周りの人々の中では、あなたの父上がエホバの証人の内部を体験すると同時に、そこを離れて批判的に組織を見る見方を持つようになったようですので、あなたにとって最も信頼できる相談相手になると思います。「もう少しゆっくり結論を出したら?」という助言は私も反対はしません。お父さんともっと親密に話し合われたら如何でしょうか。