同性愛の問題

(10-22-96)。


村本様、およびすべてのキリスト者の方へ

  私自身は異性愛者ですが、共産主義者として同性愛者解
放運動を支援しています。同性愛者の友人もたくさんいます。
  ところで、ものみの塔は同性愛を厳しく禁止していますが、この点に関
しては彼らの聖書解釈が正しい事は明らかです。(もっとも、無神論者の私は
聖書解釈上の議論にはあまり関心はありませんが。) 
私より村本氏のほうがよくご存知だと思い
ますが、聖書も同性愛を厳しく禁じています。キリスト教は、同性愛者に
対する残虐な弾圧の先頭に立ってきたし、今もそうです。
  科学的研究は、聖書の教えが間違いである事を完全に証明しています。
同性愛は「不道徳」ではなくて生まれつきのものである事、人間に特有の
ものですらない事、等々は既に常識となっています。なぜ聖書が誤った事
を書いているのか?  それは聖書が「真理」ではなく「人間の言い伝えに
基づいて」いるからでしょう。そうではありませんか?
  ものみの塔が聖書解釈上正しいかどうかという議論も必要ですが、聖書
そのものに関する議論もすべきでしょう。そうでなければ仮に正しい聖書
解釈の普及によって輸血拒否がなくなったとしても世界最後の少数民族=
同性愛者に対する迫害はなくならない、といった事になりかねません。

(1917年のロシア十月革命は、ツァーリ時代の反同性愛法を廃止し、同性愛
者を解放しました。しかしその後、スターリン時代に反同性愛法や中絶禁
止法が復活し、同性愛者や中絶を行った女性に対する粛清が行われました。
それが各国共産党にも移植され、各国スターリン主義党は
グロテスクな反同性愛主義者となりました。このような歴史的事実を知っ
て欲しいと思います。)

《編集者より》
この質問はまた非常に人々の意見を分け、キリスト者だけでなく社会全体を大きく分けている膨大な問題です。特に私の住むアメリカでは、中絶の問題と並んでキリスト者、一般人すべてを巻き込む大論争です。つい先日もアメリカの元エホバの証人のディスカッショングループでこの件で大論争になり、大量の脱退者を出しました。Fさんはご存知かどうか知りませんが、エホバの証人は同性愛者に対してスターリンとほぼ同じような態度をとります。つまり彼らは同性愛者である証人を追放し、霊的「粛清」を加えるのです。ここでは私の個人の見解を手短に述べます。上記の三位一体の議論と同様、どうかこの議論が人間の信仰を裁断するリトマス試験紙や踏み絵にされないことを希望します。
医師としての訓練を受けてきた私は、人間の行動の可成りの多くの部分が、生理的、病理的メカニズムによって規定され、個人の自由意思を越えて起こることを知っています。私はそのような行動に対して、背景にある生理的、病理的メカニズムを無視してその人間の道徳的価値判断を下すべきではないと考えます。現代の世の中では聖書の書かれた時代には知られていなかった多くの知見がわれわれに明らかにされています。私はこのこと自体、神が人間を導いてそのような知見を与えているのだと思います。そのような知見をただ単にサタンからのものと決めつけて無視し(自分の組織に都合のよいものは同じサタンの支配する科学からどんどん取り入れるにもかかわらず)、昔ながらの聖書の記載を杓子定規にあてはめることは聖書の濫用であると私は考えます。イエス・キリストはその当時、過去からずっと引き継がれてきた聖書の律法を応用するのにどのような態度をとったでしょうか?マタイ22:36では、イエスはこのような聖書の権威を押し通すパリサイ人が「どの掟が最も重要でしょうか」と尋ねたのに対して次のように言いました。
「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』律法全体と予言者はこの二つの掟に基づいている。」(マタイ22:37−39)
私は、どのような戒律も道徳も、隣人に対する愛を失ったらその意味がなくなると思います。私はこれがイエスの教えであると信じます。私は医師としても同性愛者に対して深い関心を持っています。同性愛に関してはまだ結論的なことは出ていませんが、私は今解かっていることの範囲内で何が最も彼らにとって『自分のように愛する』ことになるのかをその時その時で見分けながら、彼らに接して行きたいと考えています。てんかんは私の深く専門とする疾患ですが、昔その病態が理解できなかった時に、その患者は多くの差別と迫害を受けました。現在ではその病態が明らかにされ、いかに彼らが不可解な行動を取ろうとも、さすがのエホバの証人でさえサタンに取り付かれた行動とは見なしていません。同性愛が同じような歴史をとるかどうか私は分かりませんが、常に目を見開いて成り行きを注目していくつもりです。


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