組織を去っても夢でうなされる―14年間のエホバの証人の生活は何だったのか

(10-16-96)。


 はじめてメールいたします。
私は京都に住むNといいます。 このHPを見つけたときは、単
なる批判めいたことしか述べられていないのだろうといった気持
ちしかありませんでした。しかしじっくり読んで行くにつれ、複
雑な気持が錯綜するのです。メールを出さずにはいられなくなり
ました。乱文、ご容赦くださいませ。

 私は8歳から母よりエホバの証人として訓練を受け、10歳で
伝道者、15歳でバブテスマをを受け、18歳で正規開拓者とな
りました。しかし伝道が大嫌いだった私は(?)自分のスタイル
が単なる母と協会のお仕着せにすぎないと感じだし、21歳には
ベテルへの招待を受けたにも関わらず、それを断り世俗の仕事に
付き、次第に集会にも欠席するようになりました。学生時代には
歳の近い兄弟姉妹も多く、自分でいうのも変ですが熱心な活動者
だったと思っています。離れてひとり暮らしを始めても、兄弟姉
妹が頻繁におとずれ、私を説得していきました。開拓者学校の教
官だった巡回監督まで涙を流しながら説得にいらっしゃたことは
今でも目に焼き付いて離れません。

 この群との関係を断ち切るには排斥しかないだろうと短絡的に
考えるようになりました。結果として二人いた長老の内、私と以
前から確執のあった(ある自体が間違いですが)ひとりの前で喫
煙している姿を見せ、直ちに叱責処分を受け審理委員会に呼ばれ
ましたが、文章において組織との断絶を宣言し、排斥処分を受け
た次第です。生まれも育ちも山陰の片田舎でしたが、仕事の関係
で1年前に京都に住むようになりました。現在30歳です。

 組織を去ってからの8年間、よく夢でうなされました。田舎の
小さい会衆のときから14年間も育ったので、その思い出がいつ
も夢になって出てきます。これは今でも変わりません。私自体、
読書が好きでしたので、協会の出版物はすべて読破していました
し、新しい見解が地域大会やものみの塔で打ち出されても、統自
体の見解は聖書に照らし合わせても理にかなったことであると考
え、疑問をもったことはありませんでした。また会衆内での人間
的なトラブルでさえ、聖句から良い方向への解決の糸口を導き出
す組織の統率力は、現在でも人間のなせる業ではないと思ってい
ます。ただ囲いの外にいる人がサタンの落とし罠である「ベール
を多い被されられている」との見解には自分が成長してゆくにつ
れ異なものを感じだし始めていました。あまりに抽象的で排他主
義的見解をうえつけられると、どっちがベールを被せられている
のかわからないじゃないか?と思うようになってきました。

 今回 、このHPの内容を総て拝見してびっくりすることの連続
でした。特に「協会の権威者」は最近の出版物の内容でもあり、
なぜなんだろう?という気持ちでいっぱいです。「良心の危機」
に際しては元証人の立場からいうと、「聖なる決定に対し、私情
を持つのは禁物である」という思いもあるのですが、統自体の情
報は、14年間在籍していてもほとんど入手困難でしたし、巡回
監督レベルでも同じだと思います。また日本支部の会計報告等も
全く持って謎でしたので、現証人の方が知らない組織の情報は相
当なものと思います。でもそれは創価学会でも幸福の科学でもバ
チカンでも変わらないでしょう。トップシークレットがあるから
宗教の崇高さを助長させるのではないでしょうか。

 現在、私はどの宗教にも属していませんし、属す気もありませ
んが、ただこの14年間はいったい何だったんだろうか?と時折
考えると、決して虚しくはないのですが奇妙な気分です。本当に
エホバはいらっしゃるんだろうか?、ハルマゲドンはいつ来るの
だろうか?なんか原点に戻った気分です。むかし塔誌に出ていた
ことばで、「あなたがハルマゲドンの到来を忘れて、平和だ安全
だ、と思い始めたそのとき、終わりが来るのです。」というくだ
りが今でも忘れることができません。

 大変支離滅裂な文章で申し訳ありません。このHPをずっと楽し
みにしておりますし、「良心の危機」 日本語訳の完成も楽しみに
しております。もしこのつたない文章を引用なさっても特に問題
はございませんし、匿名にはいたしません。ただメールアドレス
は非公開でお願いいたします。これからのご活躍をお祈りいたし
ます。

《編集者より》
熱心な活動者であったNさんが徐々に心の変化を経験し、苦労して離脱されたいきさつは、証人の心の変化を理解する上で大変参考になります。お母様との関係はどうなっているのでしょうか?元証人で家族関係によって苦労する方が沢山います。お母様がまだ組織に留まっているのであれば、その対応を考えなければならないでしょう。どうかまたお便り下さい。