エホバの証人の妻の精神疾患について

(9-3-99)

 はじめまして。**(匿名希望)と申します。
 わたしの妻は、結婚する前にものみの塔のバプテスマを受けましたが、エホバの証
人をやめるという条件で数年前に結婚しまた。しかし、正式に退会状を出した訳では
ないので、本人としては活動を休止しているだけなのかも知れません。
 妻はバプテスマを受ける前後から精神疾患に罹患して精神科を受診しており、入院
歴もあります。結婚する前ですが、レポメプロマジンを大量に服用し、胃洗浄等の処
置を受けたこともあります。
 現在では若干の睡眠障害があるものの、おおむね予後は良好で、医師の指導の元で
薬剤の投与は睡眠導入剤のみです。
 わたしは、妻の精神疾患の罹患とものみの塔への入信とは相当の因果関係があるの
ではと思っております。特に、奉仕といわれる個人宅や会社への訪問(伝道)の強制が、
信者にとって大きな肉体的・精神的負担になっているものと思われます。
 そこで、ものみの塔と信者の精神疾患の関係について、精神医学の観点から現在判
明している点についてお教えいただきたく、メールをお送り申し上げた次第です。
 何卒よろしくお願い申し上げます。

《編集者より》
エホバの証人の間に精神疾患が多いという事実は、多くの医師の印象ですが、これを正確に調査した報告は余り多くありません。最も有名な研究は、1975年のイギリス精神医学雑誌(British Journal of Psychiatry)に発表されたオーストラリアでの調査があります。これによると3年間の調査期間の間に西オーストラリア精神病院に入院した患者7500人の宗教を調べた所、エホバの証人の間に、エホバの証人以外の患者に比べて精神分裂病患者が三倍、妄想型分裂病が四倍も多く見られたと報告されています。その他、心身症的な不定愁訴の患者がエホバの証人に多いという一般医の印象が報告されています。

エホバの証人の精神障害の因果関係については、幾つかの説がありますが、確定的なことはわかりません。あなたのおっしゃるように、組織の厳しい戒律と奉仕で縛られた生活から来るストレスが、病気の引き金になるという説もありますが、逆に精神病に罹りやすい体質の人が、その弱さの故にエホバの証人やその他のカルトと言われる強力に組織された団体に引き込まれるのだ、という説もあります。宗教一般が精神病の現われであるという極端な説もありますが、これは多くの精神医学者の支持を受けてはいません。大部分の宗教は精神病者を特に多く出しているわけではなく、ある種の宗教は逆に精神病を予防できるという研究もありますが、エホバの証人の宗教はこの中には入らないようです。

エホバの証人が精神疾患に罹患した場合のもう一つの大きな問題は、この宗教が伝統的に精神医学、心理学に否定的な態度をとってきたことです。最近ではこの傾向は薄くなりましたが、つい最近までものみの塔は、精神科医、心理療法士、などをフロイドなどの無神論者の影響や伝統的哲学の影響を受けている人々として警戒させ、心の悩みを持つエホバの証人はこれらの専門家に行くより、会衆の長老に相談することを勧めていました。その結果、多くのエホバの証人が精神疾患の適切な治療を受けずに、重篤な精神病に発展したり、自殺に追い込まれたりしました。この傾向は、古くからものみの塔の組織についている幹部に今でも染み付いているようですので注意が必要です。