「ナチス・ヒトラーと『ものみの塔協会』との協調関係」に対する反論

(9-1-99)

以下、「読者の広場・声の広場」に掲示してください:

「ものみの塔協会の出版物とナチス政府の関係について」に対する反論 

  エホバの証人は、本当にヒトラーと協調関係を結んでいたのでしょうか。ベル
リン大会宣言をよく読むとそうではないことが分かります。

    「現在のドイツ政府(ナチス政権)は抑圧的な大事業家に対して断固として
反対を宣言するとともに、宗教が国家政治に悪影響を与えることにも反対してき
ました。この立場はまさに私達の立場と一致するものであります。」

  ここで協会が用いている「宗教」とは、「大いなるバビロン」(すなわち、偽
りの宗教世界)のことです。エホバの証人は中立を保っていたので、ドイツの国
家政治に関与していません。(ヨハ17:16)また、当時ドイツはヒトラーを
総統とした千年王国を求めていました。エホバの証人も千年王国を求めており、
この点で立場は一致しています。

   「エホバ神とその人類に対する慈愛に満ちた計画を知ることは人間にとって
最も重要なことです。なぜなら神はその言葉の中で、神の言葉への理解と見識の
ない所では人々は滅びると宣告しているからです。(箴言 29:18)。私達
はその命と物質的な存在を、人々が神の言葉の理解と見識を得られるようにする
ための仕事に捧げてきました。従って、私達の出版物と活動がドイツ国家の平和
と安全にとって脅威となることは決してありえないのです。私達はドイツ政府が
支持する原則に反対するのでなく、それらの原則を忠実に支持し、エホバ神がイ
エス・キリストを通じてそれらの原則を完全に実現し、人々に平和と繁栄と最大
の希望を与えるであろうことを示しているのです。」
   
  「ドイツ政府が支持する原則」とは、「ドイツ国家の平和と安全」のことと思
われます。エホバの証人は、神の王国の到来を宣べ伝えており、その王国はドイ
ツ国家に平和と安全をもたらします。(啓 21:4)

   「私達の本や出版物を注意深く調べてみると、現在のドイツ国家政府によっ
て打ち出された崇高な理想は私達の出版物の中に提示され、支持され、強く強調
されていることがわかります。そしてエホバ神はこれらの崇高な理想が来るべき
時において、全ての正義を愛し、神に従う人々によって達成されることを示して
います。従って、私達の出版物と活動が現在のドイツ国家のこれらの原則にとっ
て脅威となることはあり得ず、逆に私達はその様な崇高な理想の最強の支持者な
のです。このことがまさしく、正義を望む全ての人々の敵であるサタンが私達の
仕事を誤り伝え、この国において私達の活動を行うことを妨害しようとする理由
なのです。」 

  「ドイツ国家政府によって打ち出された崇高な理想」とは、千年王国のことで
しょう。エホバの証人は、キリストによる千年王国を支持しており、「[エホバ
の証人]の出版物の中に提示され、支持され、強く強調されていることがわかり
ます」。ですから、エホバの証人がナチスの独裁政権とつるんだことを示す証拠
とはなり得ません。

  また、「大会会場にナチスの『かぎ十字』の国旗が掲げられ、歌詞は変えられ
ているものの、ドイツ国歌のメロディーが歌われた」事は、何の問題もありませ
ん。この大会が開催されたウィルマースドルフ体育館には最初から鍵十字が掲げ
られていました。エホバの証人が掲げたのではありません。このような場合、エ
ホバの証人は上位の権威に服するため、掲示物を外さないことがあります。たと
えば、今日でもエホバの証人は地域大会を球場などを借りて開催することがあり
ます。その時、彼らはエホバの証人の信条に反するすべての広告を外すわけでは
ありません。なぜなら、球場の管理者の権威を認めているからです。それと同様
で、ウィルマースドルフ体育館の鍵十字も外しませんでした。だからといって、
彼らが鍵十字を崇拝の対象としていたというわけではないでしょう。ですから、
問題ないのです。また、世の歌のメロディーを賛美の歌として歌うことは、禁令
下の国々では今日でも普通に行われています。

《編集者より》
あなたに対する単純な質問は、エホバの証人がものみの塔誌や目ざめよ誌に何度も書かれているように、一貫してナチスドイツに反対して迫害されていたのなら、なぜものみの塔協会はヒットラーに対してこのような友好的な手紙を出す必要があったのでしょう。ものみの塔に書かれているように、またビデオで宣伝しているように、エホバの証人がヒットラーに一貫して反対していたのなら、はっきりとヒットラーの悪を指摘し、関係を断絶するか、少なくとも係わりを持たないことを宣言できたはずです。ヒットラーの打ち出した千年王国は一つの政治体制であり、そのようなものにキリストによる千年王国を重ねて「自分たちの理想と一致する」などと言うのは、現代の世界で言えば朝鮮民主主義人民共和国の金主席に、「あなたの理想はものみの塔の理想と一致するから仲良くしましょう」と言うようなもので、到底考えられないことです。この世の政治から離れていることを建前としているものみの塔は、決して政治団体の理想と自分たちの理想を一致させることは有り得ないからです。

ものみの塔協会は、ヒットラーの凶暴独裁政権に対して断固とした反対の態度を取るのではなく、卑屈なご機嫌伺いを行った歴史を、あなたの書かれたような矛盾した言い訳と、「自分たちこそが犠牲者である」という話で、包み隠してきました。確かに第二次世界大戦当時、宗教界も他の世界と同様、混乱状態にありました。ある宗教は確かに日本やドイツの軍事政権に協力しましたが、それはあなたも書かれているように、聖書の「上位の権威に服する」という原則にのっとていました。一方、別の宗教、あるいは個人は何よりも平和と愛の原則を貫いて、何が何でも戦争と軍事政権に反対して迫害されました。私は、歴史を現在の基準から見て、過去の間違いを指摘して批判することは簡単ですが、その批判を現在の人間や団体に当てはめてその過去の間違いの故に裁くべきではないと考えます。

ものみの塔協会は、いわゆる「キリスト教世界」がヒットラーに協力したのに対し、エホバの証人が断固としてヒットラーに反対して迫害された、という点を勝ち誇ったようになんべんも繰り返して来ました。そして、そのことがエホバの証人が真の宗教で、「キリスト教世界」が偽の宗教(あなたが上に書いた「大いなるバビロン」)の証拠の一つとされてきました。私がこのウェブサイトで強調したいのは、エホバの証人とキリスト教世界の過去の行いを比較してどちらが正しかったか、間違っていたかというような議論をすることではなく、ものみの塔協会も、他の当時の宗教と同じような間違いを犯していた、ただの宗教団体の一つに過ぎなかったということです。私はエホバの証人の個人個人の間に、ヒットラーに協力せずにその反対の態度を貫いて迫害された人々がいたことを否定はしませんし、その人々には深い敬意を払いたいと思います。しかしキリスト教世界の中にも、ボンヘッファーに代表されるようにヒットラーに徹底的に反対して処刑された人々もまた沢山いました。なぜものみの塔協会はそのような事実を無視して、自分たちだけが特別であるという自画自賛の宣伝に躍起になっているのでしょうか。

それはものみの塔協会が、自分たちの作った人工の厚化粧で、何が何でも自分たちの組織だけが神の組織であるという教えを無理矢理押し通したいからに他ありません。私のこのウェブサイトの情報の目的は、ものみの塔協会のそのような一方的な情報に対して、バランスをとった情報を提供することであり、決してものみの塔協会がヒットラーに協調の姿勢を示した間違いを批判することによって、現在のものみの塔協会への批判につなげるものではありません。上に述べたように、このような間違いは他の宗教も同じように犯していたからです。エホバの証人、ものみの塔は決して特別ではなかったということを知って頂きたかったのです。