「夢はいつか覚める」 ―12年間をエホバの証人として過ごして

(8-10-96)

はじめまして。
 
 私は、人生の12年間を無駄にしたものです。やっと、昨年の12月に別れを告げ
ることができました。油注がれた残りの者だとかいう老人たちの暇つぶしに付き合
うことに嫌気がさしたのです。それ以外にも、横暴な巡回監督、ワンマンな長老。
数人の兄弟が悩み、会衆を後にしていきました。表向きはとても平和な会衆を装い
、裏ではどろどろ・・・・・・・。巡回監督の訪問時には、綺麗に飾られる会衆。
(真理が聞いてあきれる。)これらのことも、私の中に疑いを差し挟むきっかけと
なったようです。
 待っても待ってもやってこないハルマゲドン。神からの導きにより予言(予言の解
釈?)をしているという彼ら。ではなぜ、予言がはずれるのか。エホバが嘘を教え
ているのか? いいや、神は嘘をつかないはず。じゃあ、誰が嘘をついているのか
? 答えはなかなか出てきません。いいえ、答えはとっくの昔に出ていました。た
だ、永遠の命、パラダイス、充実した生活、平和な世界、そして、今まで費やして
きた人生の貴重な時間と神への愛。これらがすべて無駄で、すべてが夢にすぎない
ことを認めることに、恐怖し、困惑し、決断を下せなかったのです。少々時間はか
かりましたが、今では現実を受け入れることができています。
 
 最後に質問です。  統治体や、その周りにたむろしている輩は、いったい何の
目的があってこんなことをしているのでしょうか?
              残りの者が全員死んだ後、今度は誰が神からの導き
を得るのでしょうか?(どのように繕うのでしょうか?)           
@ 

《編集者より》
12年のベテランの証人であるFさんには、私の方から質問をしたいくらいです。しかしいくら長年証人をやっていても、自分の宗教について驚くほど知らない人がいることも確かですので(そのために私はこのようなウェブサイトを作ったのです!)私自身の意見を書きましょう。

私は、統治体やものみの塔協会の指導部が、特別の利欲があってこのような世界的な宗教活動をしているとは思いません。彼らの動機は他の宗教団体と同様、恐怖、欲望、希望そして人間のどの組織にもつきものの拡大欲です。私がエホバの証人の上層部にいた人達から聞いた話では、統治体も一般の証人と同様「ハルマゲドン」や「地上で永遠に生きる」という教義を心の底から信じて、その恐怖と生き残りの希望でこの世界的な熱心な活動を行っています。そして彼らの大部分は心底から神を愛したいと願っています。それでは何故あのようなマインド・コントロールをしなければならないのでしょう?

それはこの恐怖と欲望が強度になると集団の中に発生する共通の心理過程だと思います。ちょうど敵の攻撃にさらされた軍隊のように、あるいは聖地を奪われて自分たちの存在も危ういと信じ切った中世期の十字軍のように、この過程は大集団のなかに自然発生的にわき上がり、強さを増します。あることを守り達成すれば最高の報酬(エホバの証人の場合地上での永遠の命)が得られる反面、それから外れれば、最悪の懲罰が来る(永遠の死)と言う場合、集団はその目的を達成するために厳しい戒律を作らざるを得なくなります。ものみの塔宗教の場合この戒律の中に組織拡大努力(家から家への奉仕)が組み入れられているため、どうしても組織の勢力を維持し組織を拡大させるための方策が必須です。この方策の最も効果的なのがエホバの証人や他の破壊的カルトの行っているマインド・コントロールなのだと思います。

私はよく言うのですが、エホバの証人五百万人全体が(統治体も含めて)加害者であり同時に被害者なのです。彼らは自分自身に対してもマインド・コントロールを行い、自分たち同士でマインド・コントロールを行いあい、集団としてのまとまりをどうにか保っているのです。これについては最近エホバの証人は破壊的カルト集団と呼ぶにふさわしい団体でしょうか?というページにも書きましたので参考にしてください。Fさんの上の短い手記の中に、いかにあなたが12年間、この堂々めぐりの閉ざされた心から抜け出ることが出来なかったかがありありとうかがえます。貴重なお便りを本当にありがとうございました。

「残りの者が全員死んだ後、今度は誰が神からの導きを得るのでしょうか?」のご質問は「油注がれた残りの者」つまり14万4千人のうち今地上にいる者たちが全員死んだ後はどうなるのか、というご質問でしょうか。これは誰も、統治体メンバーでさえ答えられないのではないでしょうか。私の考えでは今までと同様、そのころになったら「新しい光」を発表してこの「14万4千人の油注がれた残りの者」の教理をくるっと変えるでしょう。それはちょうど最近の「1914年を見た世代が死なないうちにハルマゲドンが来る」という教理が、何のためらいもなく「新しい光」として変えられたのと同じ事でしょう。

実際、12年証人をされたFさんに申し上げるのは釈迦に説法でしょうが、エホバの証人の教義は常に流動的です。一番わかりやすいエホバの証人の教義、それは「何であれ、統治体が真理であると決めて発表したことが真理である」ということでしょう。つまりそれが彼らのいう「時に応じた霊的な食物」であり、それ以上に真理は何か、将来はどうなるのか、自分と神との関係はどうなるのかなどと悩んでも何も答えは出ないのです。それがものみの塔宗教というものだと私は思います。