「母の件で相談させていただきます」

(11-5-04)


<前略>
元二世です。母の件で相談させていただきたいのです。母は20年来のエホバの証人
で、宗教の違いのため父とは15年ほど前に離婚しています。一人っ子の私もエホバ
の証人をやめてからは遠く離れて暮らしており、母はここ数年一人暮らしです。その
母が、どうも最近心を病んでいるようなのです。団地住まいなのですが、上の階の住
人(初老の一人暮らしの男性)のいやがらせが気になる、と言って夜も寝れないほど
苦しんでいます。現在は引っ越しを考えているそうです。

私が夏に里帰りした際には、上の階の住人がわざと騒音を立てて困っている、と言っ
ていましたが、私は全く騒音を感じずに快適に過ごせていました。それを伝えると、
上の住人は母の部屋のことを常時うかがっていて、誰か来客があると騒音を立てるの
をやめるのだ、と言いました。母によると、上の階の住人は畳や床板もはいで騒音が
直接母に伝わるようにしつつ、監視もしているそうです。しかし実際に上の階がその
ようになっている証拠はありません。

最近は、上の階の住人が母に悪臭で攻撃をしてくるらしいです。悪臭なら団地のほか
の住人にもわかりそうなものですが、巧妙に母だけに伝わるよう攻撃をしているらし
いです。そして特殊な方法を用いているため、母に来客があるととたんににおいをと
めることができるそうです。だから母が夜も寝れないほど気にしている騒音や悪臭は
エホバの証人の仲間や団地の近所の方には全くわかってもらえない、と言います。

私の素人考えからすると、これは迫害妄想のような気がします。「今は終わりの時
で、エホバの証人はサタンから集中攻撃を受けている」という教えを信じ込んでいる
ため、上の階の住人を悪魔の手先と考えているのかもしれません。そして、上の階の
人は精神をやんでいると発言するものの、よもや母自身の精神が弱っているとは思い
もつかないようです。「霊的パラダイス」にいる自分が精神病になることなど思いも
よらないのかもしれません。

質問させていただいてよろしいでしょうか。エホバの証人の抱える精神疾患には、こ
のような教義由来の迫害妄想がよく見られるのでしょうか。引っ越しはこのような状
況を改善する上でどの程度有効な手段でしょうか。もちろん母が洗脳から解放された
り、私が母と同居してやれたりしたらいちばんなのですが、現時点では手っ取り早い
解決策ではないと思われます。なにかお教えいただけると、とても助かります。

《編集者より》
エホバの証人の抱える精神疾患の妄想内容が、教義と関係しているかどうかを正確に調査した研究はないと思います。私自身そのような調査をしたいのは山々ですが、ものみの塔協会は外部の人々が信者の実態を把握する調査をすることを、それが報道関係者でも学術関係者でも、ほとんど禁止しています。そのような調査の依頼は、全て協会が審査した上で協会に好意的な内容の調査をすることが分かっている時にだけ許可するようです。(例えば輸血拒否でどれだけの死者が出たかの実態調査は完全に禁止されますが、輸血拒否にも関わらず元気になった証人の調査は大歓迎という状態です。)従って、このような研究は実に重要ですが、現在では不可能であると思います。ただ、他の宗教に関しては幾つかの研究があり、宗教信者の妄想にはその宗教のテーマが主体となることは分かっていますので、エホバの証人の場合も例外ではないと思います。

お母様の症状を見る限り、妄想型の精神病である可能性は非常に高いと思います。引越しが簡単にできるのであれば、それによって症状が軽快するかどうかを見る価値はあると思いますが、遅かれ早かれ専門医を訪れる必要が出てくるのではないでしょうか。簡単に引越しが出来ないのであれば、手遅れにならないうちに受診することをお勧めします。


読者の広場インデックスに戻る