胎盤を通過する血液成分について

(7-23-04)


先日メールさせていただいたピーターです。
  
2004年6月15日号のものみの塔の読者からの質問に関してですが、医療に関する知
識をお持ちの村本さんにお聞きしたいことがあります。
この記事の中では、分画を受け入れることができる理由として、母体が胎児に免疫グロブ
リンを与える点を取り上げ、そして「血液分画はこうした自然の営みの中で別の人間へ移
動するのだから・・・血液分画は受け入れることができる」という論議を展開しています。
つまり”母体と胎児の間を移動するものは取り入れてもかまわない”という論理です。
 
ここで質問なのですが、この同じ段落で「胎児の赤血球が通常の寿命を全うすると、それ
に含まれる、酸素を運ぶ部分は処理されます。その一部はビリルビンとなり、それは胎盤
を通過して母体に入り、母体の老廃物と共に排泄されます。」と述べている点です。
ここでは”酸素を運ぶ部分は…処理され…胎盤を通過する”と述べて、ヘモグロビン製剤
を受け入れてもいいという協会の主張の根拠にしています。
しかし、この文章には非常に違和感を感じます。
まず、”酸素を運ぶ部分”という遠まわしな言い方です。なぜ、ヘモグロビンと言わない
のでしょうか?
そして、”その一部”とは具体的には何を指しているのでしょうか? 
このような書き方を見ると何かを隠しているのでは?と感じます。
”その一部”とは具体的に何を指しているのでしょうか?
”酸素を運ぶ部分の中の”一部(つまり、処理された一つのものの一部分)でしょうか?
それとも、”処理された酸素を運ぶ部分”の一部(つまり、処理されたたくさんのものの
中の一部)でしょうか? その一部 = ヘモグロビンという式が成り立つのであれば
(つまり後者を意味しているのであれば)協会の論理も成り立ちますが、どうもそうでは
ないように感じます。というよりは、読者にそう思わせようとしている文章のように感じ
ます。知っている事実の”一部だけ”を述べているような感じの文章です。
 
実際に母体と胎児との間ではどのようなことが行われているのでしょうか?
 
また、「胎児の赤血球が通常の寿命を全うすると」という点も、おかしな点です。
血液製剤として使用されるのは当然”寿命を全うしたもの”ではなく、活動している(も
しくは活動できる)もののはずです。
 
では、”寿命を全うした”他のいわゆる主要成分はどうなるのでしょうか?
協会が言う”分画”だけではなくて、”主要成分で”母体と胎児の間を移動する”寿命を
全うした”ものがあるのではないだろうか?と感じます。
 
血液に関する知識が全くないので、とんちんかんな質問をしているかもしれませんが、協
会がヘモグロビン製剤を使用可とするために用いている論議に非常に疑問を感じますので、
正確な知識を教えていただければうれしく思います。

《編集者より》
まず、ものみの塔の記事がなぜあのような表現をしたのか、なぜヘモグロビンと言わずに「酸素を運ぶ部分」と表現しているのか、これは何かを隠しているのか、という質問ですが、これはものみの塔の記事の筆者にしか答えられない質問だと思います。好意的に解釈すれば、素人にも分かりやすいように、できるだけ技術的な用語を避けたとも考えられます。「その一部」はヘモグロビンの一部、つまりヘム色素を意味していると思います。しかし、そのような細かいことをせんさくするより、もっと大きな問題を見失わないようにして下さい。協会が使う、「胎児と母体との間を移動する血液成分は自然であるから受け入れて構わない」という論理は、根本的に破綻しているのです。ものみの塔協会が絶対に受け入れてはいけないと決めている赤血球は、一昔前までは胎盤を通過しないと信じられていましたので、ものみの塔協会は「しめた」と思ってこれを借りてきて胎盤通過の教義を構築したと思います。しかしその後の医学技術の進歩により、この知識は胎児と胎盤の血流の完全な理解ではないことが分かりました。現在では胎児の赤血球は母体の中を流れていることが知られています。この新しい知識のお蔭で、現在では母体の血液を採取し、その中から胎児の赤血球を取り出して、胎児の出世前診断に使われています。ものみの塔協会の指導部がこのような医学知識に無知なはずはありませんが、彼らは一般のエホバの証人は知るはずがないとたかをくくってこれを隠し、いまだに赤血球は絶対に受け入れてはならないと教えながら、胎盤を通過する成分は受け入れても構わないという、まったく医学的にも論理的にも根本的に矛盾した教えを、堂々と発表しているのです。悲しいことは、これが単なる作り話としての荒唐無稽な宗教教義に終わればいいのですが、現実には多くの信者がこの荒唐無稽な作り話のために死んでいるのです。この「血の罪」は誰に帰せられるのでしょうか。


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