「エホバの証人輸血拒否について」−法学部学生よりの質問

(4-28-04)


私は、***大学の法学部1年の##と申します.
授業の一環で、「エホバの証人輸血拒否事件」について調べております.
そこで、私の質問にぜひ答えてください.
質問は以下の3点です.

@もし、エホバの証人の方々が、交通事故などで、病院に「急患」として運ばれた場合、
どのようにして自分がエホバの証人であることや、自分が絶対的無輸血の立場なのか相対
的無輸血の立場なのかを伝えるのですか.

A上記の例で、不幸にも医師に絶対的無輸血の意思が伝わらず、輸血をされてしまった場
合、病院側に抗議したり、裁判に訴えたりしますか?

B輸血されてしまった場合、なにか特別な祈りなどで汚れを取り払うようなことはなさる
のでしょうか?

ご協力よろしくお願いいたします.

《編集者より》
@多くのエホバの証人は、財布に入る形の「医療上の指示−輸血しないでください」というカードを持っており、それを医療関係者に見せることになっています。ただ、このカードを所持していないエホバの証人も少なくなく、その場合は本人の自発的な申告に頼るしかありません。また、絶対的無輸血、相対的無輸血という分類についてはわかりませんが、輸血のどの部分を拒否するのかは、これも個人の問題であり、その都度患者本人の意思を確認する必要があります。法的に問題になるのは、意識の無い患者が運ばれてきて、家族が「うちの人はエホバの証人だから輸血をしないで」と言う場合でしょう。この場合、医療関係者としては、本人の署名した事前の医療上の指示がない限り、家族の言葉を丸呑みにして輸血をせずに患者を死なせることは、問題になります。また、カードがあった場合でも、そのカードが古かったりした場合、現在の意思を確認できないような意識不明の状態では、その解釈に問題が残ります。
Aもしはっきりと無輸血の意思が言葉や書類で明示されているのに医師が輸血した場合は、エホバの証人、特にその背後に立つものみの塔聖書冊子協会は、その有力な弁護士団を駆使して、裁判で徹底的に医師と病院に損害賠償を求めてきます。
B汚れを取り払う特別な祈りはありません。ただ、もし輸血が本人の明確に表明された意思に反して行なわれた場合には、その本人に宗教上の罪の咎は課せられません。問題になるのは、輸血を受けた本人の心の状態であり、自発的に輸血に合意した場合は最も罪が重く、排斥処分になり背教者と同じ扱いになりますが、病気で意志薄弱の状態で輸血された場合には情状酌量の場合もあります。


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