「傷ついている人に」−排斥された元2世より

(3-11-04)


はじめまして、村本様。
4年程前にパソコンを購入してから、時々拝見させて頂いております。
私は排斥された元2世です。
もう14年経ちますので、落着いた気持ちで皆さんの投稿を読むことが出来ますが、
今でもたびたび自分の奥底にある痛みが顔を出します。

私が2歳のとき母がバプテスマを受けました。当時の組織の方針で、物心付くころか
ら“従順”をムチで叩き込まれました。10歳のとき文字通り命が救われるようなこ
とがありました。ずっと母に集会に連れて行かれてましたから、その神が助けてくれ
たのだと子供心に思いました。事件に巻き込まれそうになりながら危うく難を逃れた
のですが、それは居合わせたお巡りさんが危険を見逃さず察知してくれたお陰でし
た。それに関連した厳しい状況がその後も続いたので、私は元気が無かったと思いま
す。

当時会衆内には、暗い顔をしていると、「信仰が足りない」とか「隠された罪がある
んじゃないか?」などとささやかれるような雰囲気がありました。
事情を話して自分を擁護できる人、出来ない人。私は勿論、後者でした。
人に話すにも、何をどう話して良いのか察しかねることでしたし、傷つくかもしれな
い人のことを思ってのことでした。
それが長老の気を悪くさせることもありました。信頼できないのかと。
いろんな思いを自分で抱えながらの私の精一杯の行いを認めてくれる人もいました
が、奉仕の数字や元気が足りないのは信仰が足りないせいと見る人もいました。
人生は厳しい、そして私は出来が悪い!と自分でも思うようになりました。

自分を信じることに欠けていると、若い可能性も夢も摘み取られてしまう−それは何
もこの組織に限ったことではないかもしれません。でもこの組織では、命さえ摘み取
られてしまうのを幾度となく目の当たりにしました・・・平信徒一人よりも、不完全
な組織を神の組織として守ることが優先される中で。

私も排斥直後は、神に許してもらいたいと思うのに組織には戻りたくない、でも神は
組織と共にあるというマインドコントロールが解けていなかったので、神に見捨てら
れたという自己否定で苦しみました。今日生きていることが無意味に思える、毎日そ
の思いとの闘いでした。過去を振り返ることも痛くて出来ない、未来を思い描くこと
も恐くて出来ない、目の前のこと一つ一つするだけで精一杯でした。

村本様の薦めるとおり自然消滅的に組織を去ることが出来ればベストだと思います。
しかしこうしたサイトを知らず一人苦しんでいる人もいるかもしれません。精神的に
打ちのめされていて、すでに緊急に保護を必要とする人も少なからずいるかもしれま
せん。本人が組織を出る出ないどちらを望んでいても、差し迫って保護の必要な未
成年のケースもあるかと思うのです。

組織の中にいようが外にいようが、互いにそうしたSOSだけは見過ごさずにと願う
ばかりです。

村本様や、ココに書いてくださる皆さんの労力を思うと頭が下がります。今回が初め
てのメールですがまだ痛みを伴います。それでも私の経験が、今苦しんでいるかもし
れない人の、もしかしたら役に立つだろうかと思い書かせていただきました。

《編集者より》
勇気を持って投書して下さり、ありがとうございました。あなたのおっしゃる「精神的に打ちのめされていて、すでに緊急に保護を必要とする人」がエホバの証人の社会の中に少なからずいることは、私も知っていますし、このサイトへの投書者の中にもそのような状況の人が時々います。これらの人々は、多くの場合、組織の圧力やストレスから精神状態が不安定になっている人々で、差し迫って必要なのは、エホバの証人を止めることではなく、適切な診断と治療を受けることです。これが行なえるのは、その時点でその人を支えている社会、すなわち家族やエホバの証人の会衆の人たちです。そしてここで問題になることは、私が何度も書いているように、ものみの塔協会が心理学や精神医学を「この世の知恵」と称して軽蔑して、専門の医療を受けさせるより、祈りや「聖書の助言」で直すことを教えてきたことです。(詳しくは「エホバの証人と精神疾患」のページをお読み下さい。)このような状況では、SOSは見過ごされるだけでなく、間違った治療や助言を与えられ、悲劇が繰り返されるのです。自分や周囲のエホバの証人がそのような状況にいるのなら、組織を出ることを先ず最初に考えるのではなく、専門家の診察と治療を受けて下さい。もちろんその過程で多くの場合、ストレスや不安の原因となっているエホバの証人の活動を休止する必要が出て来ると思います。


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