「彼女は本当に、自分の意思で、訴えたのでしょうか?」

(8-6-03)

「この女に喋らせる事にしましょう」
「そうです。私達は十分用心しなければなりません。
 敵地に居るのですから。」

―――――ものみの塔協会発行 聖書劇のテープ より

意思に反して輸血を施されたとして、裁判を起こしたことを集会の発表で聞いたとき、
言いようの無い気持ちになりました。
"そこまでするか?"

発表は協会からの手紙と言う形で扱われ、手紙の一文には、
「この姉妹は勇気を出して訴える事にしました」
と言うような所がありました。

"勇気の出しかた間違っとらん?
 勇気を出して、許す事にしました…が妥当なんとちゃう?"

だいたい、そんな個人的な情報を、なぜ協会からの手紙で
しかも発表の時間に扱うんだろう?

様々な疑問、疑惑、疑念にとらわれ、
心の傷を持つ人々の集まりの中で、助言を求めてみました。
JWと長い事研究していた男性が
"それ、本当に、自分の意思で訴えたんでしょうか?"
と、質問され、私は返答に詰まりました。
その男性は続けて、
"集会に出席してて、思った事なんですが、JWって、
なんか独特ですよね。
胡散臭いし、うわさ好きだし。
その人は、周りの人から、
「あの人輸血されちゃったのよ。良く平気でいられるわね。」
とか、
「輸血されちゃったんだから、もう、JWじゃないわよね。」
とか、色々言われたんじゃないでしょうか?"

はめる事が出来なかったピースが、不意にはまった感じでした。

もしかして、私達、大事な何かを見落としてない?
心の中が激しく揺れ動き、無い頭つついて考え、記憶をたどっていくと…。
冒頭で述べた、聖書劇のせりふを思い出しました。

「この女に喋らせる事にしましょう。」
「そうです。私達は充分用心しなければなりません。
 敵地にいるのですから。」

エリコの城壁のラハブの家へ、二人の斥候がやってきた時のせりふです。
(劇のテープを処分してしまい、実際の言いまわしと若干違うかもしれません)
確かに敵地で、自分の素性をあれこれ喋るバカはいないですが、
これは、ある意味、協会の隠れた本音なんじゃないでしょうか?

牧羊訪問で、いきなりべらべら喋りだし、
一人で喋って、一人で納得して、一人で帰る長老も時々いますが、
たいていは、「牧羊」と言う名目で、こちらの様子を探りに来たキライがあります。
こちらの出方を探り、こちらの考えを探り、こちらの手のうちを探ります。
ある意味、ラハブの家に来た二人の斥候のようです。

裁判を起こす事は、
「勇気を出した」くらいで、出きる物ではありません。
お金と、時間と、体力と、精神力が無ければ出来ません。

彼女は、裁判の最終的な決着を見ることなく、亡くなられたと、
発表か、うわさかで聞きましたが、
今にも死にそうなくらい弱っている人が、
長い裁判の精神的、肉体的苦痛に、耐えられるとは思えません。

まして、男性の支え手、補い手として創られた女性が
その創りに反して、戦いの最前線に立つなら、
その圧力と、苦痛は、想像をはるかに超えた、耐えがたい物であるはずです。

テレビやネットで、実名を流され、誰もが彼女を知るのです。
一躍「時の人となる」なんて聞こえの良い物ではありません。

彼女の霊的福祉を本当に考えるなら、
裁判などという、多大なエネルギーを消耗させ、彼女の命を縮める事より、
許して忘れ、穏やかな日々を送れるよう、暖かく導く方が、
賢明なのではないでしょうか?

あえて危険を侵して、裁判に持ち込んだと言うのは、
彼女が、うまく利用されたからじゃないかって、
思えてならないのです。

ダビデが自分の手を汚さず、まんまと、ウリヤを抹殺し、バテシバを手に入れたように、
協会も自分の手を汚さず、まんまと、権利を手に入れたのではないですか?

世間の怒りの矛先を彼女に向け、
ホクホク顔している組織の腹のうちが、見えるようです。

彼女もまた、この組織の犠牲者なのではないでしょうか?

考え過ぎかもしれませんが、
そんな裏事情があっても、おかしくないと思う、今日この頃です。

《編集者より》
輸血拒否の裁判では、その全てに協会が専属の弁護士を派遣し、協会の資力をかけて闘いぬきます。私自身がカナダの輸血拒否裁判に関係して、その実態を目の当たりにしました。その国の協会の支部の最も有力な弁護士が出てきて、患者に対してて徹底した訓練を行ないます。医者に対して何を言うべきか、何を言ってはいけないか、判事や相手側の弁護士には何を言わなければいけないか、どんな態度を示すべきか、どんな態度をとってはいけないか等、徹底的なコーチが行なわれます。そしてもちろん、大事なことは、全ての言動が弁護士や会衆の指導者が教えたことではなく、全て自発的に行なわれたように見せることです。輸血裁判は大部分の場合、患者をだしに使ったものみの塔協会の組織の闘争です。彼女が「使われている」という印象を受けるのも当然であると思います。