最近の世界情勢とエホバの証人

(4-30-03)

  お元気でお過ごしですか。時々投稿させて頂く**です。
 最近、イラク攻撃、SARS、北朝鮮問題等々世界情勢が激しく動いて
 いますね。私の母は、現役のエホバの証人ですので、最近毎日の
 ように、こういったニュースを聖書予言に当てはめては諭され、いささか
 困っております。
 
  大多数のエホバの証人の方は、このような状況が「終わりの日の
 しるし」の強力な証拠となると考え、ますます証言に励んでいることと
 思われます。しかし、このことが強調される程、私は違和感を覚えます。
 その理由を挙げてみます。
 
@戦争がそこからここへ、続けておこっているのは近代だけではない
 
 エホバの証人は、第一次世界大戦以降、戦争が勃発するたびに、
「国民は国民に、王国は王国に敵対して立ちあがり、そこからここへと
戦争が起こる」という予言の成就だと主張してきた。しかし、考えてみれ
ば戦争の本来の形は、まさにこの聖句の述べる物であり、戦争が起こっている
地域の人に言わせれば、その規模がどうあれ戦争は「患難」以外のなにもので
もないはず。1096年からの8回に及ぶ十字軍、1618年から行われた30年戦争、
1688〜1763年にわたって何度も行われた英・仏間の植民地戦争等、歴史上
延々と繰り返されてきた戦争の記録を、全てこの予言に当てはめれば、この世の
終わりが何度あったとしても、足りないのではないか?
 戦争の形、武器、内容等が違うとはいえ、当事者にとっていつの時代も
戦争は大患難以外の何物でもない。
 
A疫病、飢饉も同じ
 
 証人が終わりの日のしるしとする疫病も、今始まったことではない。
 ものみの塔の出版物では、よくスペイン風邪が取り上げられている。
 しかし、14世紀にヨーロッパにおいて人口の激減を招いたペスト、
 また、飢餓と疫病が合体したような1845〜49年のアイルランドの
 大飢饉などはどう説明するのか?
  エホバを代弁する統治体が存在する前のことは、誰もが学ぶ
 世界史の事実であっても、「終わりの日のしるし」とは解釈されない。
 
B証人の解釈による英米世界強国
 
 今回イラク攻撃に、アメリカと英国が参戦したことで、多くの証人は
啓示の書の予言がそのまま成就していると言っている。しかし、実態はどうか?
政治学者サミュエル・ハンチントンは「文明の衝突」の中で、「現在の国際体制は
一つの超大国と幾つかの大国からなる、一極、多極体制というこれまでに
ないモデルをとっている」と書き、(しかも5年以上前に)英国+アメリカVS中国+ロシア
中間にフランスという構図を説明していた。彼の著書の内容に全て賛成しないと
しても、ものみの塔協会発行の「啓示の書、その壮大な最高潮は近い」
の中で示されたような、単純な英米二重世界強国の図は明らかに崩れている。
今回イラク攻撃が行われる前の国連安保理内での論争や、イギリス国内の世論
など合わせて考えれば、誰の目から見ても、現代の国家関係は「啓示の書」で説明
されたような単純なものではない。協会はなぜ過去の解釈に執着し、現実を取り入れ
ないのか?この姿勢は完全に末端信者の視野を狭め、時代遅れのものとしている。
 
 
 簡単ですが、@、Aは何年も考えてきたこと、Bはイラク攻撃と以前読んだ本や
最近の報道等から考えた私なりの疑問です。
 普通の証人の方とはこういった事実を話し合う事も難しいと思います。私も、
母と話しても、こちらが嫌な思いをするだけなので話し合おうとは思いません。
 しかし、歴史の専門家でもなく、それ程国際情勢に詳しくない私でさえ
これだけ矛盾点を考えられるのに、多くのエホバの証人が気づかない、いや
気づこうとしないことは、残念であり、恐ろしい事ですね。
 
 今日はこれで失礼します。最後になりますが、いつもこのHPを運営しする
ために時間を割いてくださる事に心から感謝します。お体大切にして下さい。

《編集者より》
戦争、テロリズム、新しい病気の出現、と最近のニュースはエホバの証人を喜ばせることばかりで、その意味でこの投書は非常にタイムリーであると思います。地震もそうですが、人は恐怖の印象は強く記憶するものですが、何も起こらない単調な経験は直ぐに忘却します。その結果恐ろしいことが次から次に起こるという錯覚に陥ります。これは不安神経症の患者によく見られる心理状態ですが、ものみの塔組織は一種の集団不安神経症に陥っていると言っていいでしょう。あなたも指摘されたように、歴史のどの一時点をとっても、その時代に地震、戦争、疫病、飢饉、犯罪などの恐ろしいことが増えて世の中が終わりになると感じる人々が必ずいました。その最も良い例は何と言っても、ものみの塔協会の創始者のラッセルであり、彼は1914年がその時だと感じました。しかし、それ以前にも、それ以後にも、同じような歴史の節目は何度も来ました。あなたも指摘するように、十字軍の時代、黒死病によるヨーロッパの三分の一の人口の死亡、など歴史に残る恐怖の時代は、現在とは比較になりません。ごく最近でも、1945年前後、1975年前後は1914年と似たその良い例です。2001年から2003年も後から振り返るとそのような単なる歴史のひとつの転換期に過ぎないと見えるかもしれません。問題は、そのような広い視点から現代を見ることが出来ず、近視眼的にその時その時の目の前の恐怖に震え上がって反応する人々が、ものみの塔の扇動に踊らされることになるのです。

いつもながら、励ましの言葉を頂き有難うございます。そのお言葉を栄養剤として励んでいきたいと思います。