私的結社の言論と表現の自由についての異論

(1-12-03)

http://www.jwic.com/n062302.htmに異論があるので投稿します。

  しかし一般の人々が知らない、しかし非常に重要な問題は、ものみの塔協会がアメリ
  カ憲法の精神である言論と表現の自由を全く認めていないことです。これは、エホバ
  の証人の内部事情を知らない人には分からないことであり、アメリカでも世論はこの
  点を問題にしていません。しかし、たとえばエホバの証人の集会で届け出なしに広告
  を配布することはできるでしょうか。エホバの証人以外の様々な大会では広告を配布
  することは許されることがありますが、届け出のありなしにかかわらず、エホバの証
  人はそのようなことが許されるでしょうか。答えは明らかです。エホバの証人であれ
  ば誰でも、組織を公然と批判する言論と表現の自由が全く禁止されていることを知っ
  ています。ここでも、ものみの塔協会は自分のやっていないことを他人に要求する偽
  善者の姿がありありと見られます。 

これは国家や公共組織と私的組織を混同するもので、結社の自由を否定する危険な発想
ではないでしょうか。

憲法において言論と表現の自由が定められているのは、国家は特定の思想を前提とした
自発的結社でなく、さまざまな思想や宗教の共存を前提としているからです。

一方、宗教団体は私的結社であり、構成員は教義を受け入れて自発的に参加しているの
です。このような私的結社にたいして、「言論と表現の自由」などを要求するのは筋違
いではないでしょうか。私的結社は、結社内部の規定を自由に定める権利があるのであ
って、「言論と表現の自由」を内部において禁止したとしても、(脱退の権利が保障さ
れている限りは)外部からそれに介入することはできないでしょう。

もちろん、「エホバの証人」などのカルト的な団体の危険性を宣伝することは自由です
が、具体的な犯罪行為がない限り、「内部で言論と表現の自由が存在しない」というこ
とは法的介入の根拠となりえません。

法的議論の対象となりうるのは、「未成年の入信者の自発性」と「脱退の自由がどこま
で保障されているのか」ということではないでしょうか。

《編集者より》
この投書は「戸別訪問に届け出は不要−アメリカ連邦最高裁、ものみの塔協会の上訴を認める」に対する反論です。私は法律の専門家ではありませんが、あなたの提起した問題は、少なくともアメリカの法曹界では解決を見ていない論争であると思います。「私的結社」である限りその内部で言論の自由は束縛されても構わないという見方は確かにありますが、ある程度の公共性のある「私的結社」の内部で、そのような束縛が濫用されていることを問題にする訴訟は多くあると思います。そのよい例は、ボーイスカウトの内部で、同性愛や無神論に賛成する言論と表現の自由が許されるかの訴訟であると思います。ボーイスカウトは私的結社であり脱退の権利が保障されていますから、あなたの議論によれば内部で言論統制が行なわれても当然だということになりますが、これに関してはアメリカの州最高裁と連邦最高裁の判断は分かれています。従ってあなたの議論は、あなたの言うほどに単純な問題ではないと思います。

私は、宗教団体、特に国の税制で特別の恩恵を受けている宗教法人に関しては、それなりの公的な義務があり、私的結社だから何をやっても自由であるという議論には問題があると思います。個人にせよ、私的結社にせよ、その言論と表現の自由は保障されるべきですが、それを他人に強制する権利は保障されるべきではないと思います。それは国家でもボーイスカウトでもエホバの証人でも結局の所、大多数の人間が少数派の個人の言論と表現の自由を束縛していることに変わりはないからです。ボーイスカウトが無神論や同性愛に反対する意見を表現することは自由ですが、その成員がその無神論と同性愛に賛成し(それ以外のボーイスカウトの活動や精神に賛成して)組織に留まる自由は保障されるべきでしょう。それが「危険思想」であるというのは組織の支配者の側の論理ですが、私はそのような自由が認められて初めて「私的結社」の自然淘汰と浄化が行なわれるのであろうと思います。国際社会に目を向ければ、国連は同じように各国の国家の内部での問題に干渉を控えていますから、北朝鮮やイラクのように「自由に」内部の言論を統制しきっている国が今でも存在します。あれらの国々は、まさにそのような内部の言論の自由を統制しているが故に、自然淘汰と浄化を受けずに存在し続けるのです。私は結社や団体の内部の言論の自由を認めない限り、社会の中に北朝鮮やイラクに匹敵する「私的結社」が後を経たずに出てくると思います。そのような言論の自由を許さない私的結社に限って脱退の自由もまた制限されていることが多いからです。このことはものみの塔の例を見れば直ぐにわかります。