(7-27-02)
http://www.jwic.com/拝見いたしました。 ありきたりな感想だとは思いますが、感服の意を表さずには いられませんので、メールさせていただきました。 また、外部からJWにかかわっているという立場の村本先生 (みなさんどのように呼びかけているのでしょうか、管理人?) に意見を聞きたいということもありまして長文を打ちました。 ※「JW」はエホバの証人のことであり、かぎかっこはJW特有の 表現になると思ったものです。必要なかったかもしれませんが。 ■自己紹介 ケースを理解していただくためにも自己紹介をいたします。 私は、23歳男性です、現在 エホバの証人です。 「開拓者」として「必要の大きな」会衆に引っ越してきており、 「パートナー」と一緒に共同生活を行なっております。 そして「奉仕の僕」です。大会で短い話をしたこともあります。 違う場所に住んでいる 父親はいわゆる「無関心」で、母親は熱心なJWです。 私はJW2世として育てられ、実際熱心なJWに見える ようにしてきたのですが、どこかJWの組織に 醒めたところがありました。 「エホバの証人的な言葉は嫌い」とか、「われわれは 聖書研究生であって、ものみの塔研究生ではない」 とよく回りに話しています。 ただ、まわりの雰囲気に合わせるようにしていましたので、 ちょっと個性的な兄弟というように取られていたと思います。 聖書をよく研究しているまじめな兄弟ととっている人さえ いると思います。 ■目標 21のときに、「必要の大きなところ」に出ようと思ったのには、 2つの目標がありました。 ひとつは、これによって熱心な母を喜ばせることができるということ、 二つ目に、JWの集会の質を良くしたいという意思があったからです。 JWにいる人たちは本当によい人たちです。ですが、 ちゃんとしたことを教えられていないような気がしました。 私は、自分なりに聖書をよく勉強しているつもりでした。 そして、JWの教義は正しく、しっかり立脚していると思っていました。 それをもっとちゃんと聖書から教えられるのにという自信があったのです。 確かに、怪しい教理もありました。 それでも、まだ救いようのある団体ではないかと思っていました。 「しかたない、また適当なこと言っているけど、なんとか うまく伝えておいてあげよう」という、協会上層部への 忠誠心もあったのです。 ■変化 しかし、聖書を調べて続けていくと、多くの疑問が生じてきました。 それらの疑問には、「もし根本的にものみの塔が間違っていたら」という 前提で調査をすると正しい答えが出そうな気がしました。 特に私が考えたのは、 「情報は増えれば増えるほど、真理ははっきりするのであって、 ほかの情報源を一切無視させようとするのはおかしい」 「クリスチャンを2つのクラスにわけるのには根拠が薄弱」 「ダニエル書の1335日などの解釈は明らかにこじつけである」 などの点です。 そして、実際ものみの塔は間違っているらしいと確信しはじめました。 何か難しい数学の方程式が解けたときのような開放感がありました。 問題は、今後自分はどうするかと言うことです。 つまり、本当にJWの人にとって助けになるのは、JW内を 居心地のよい場所にしていくことではなくて、JWをやめることを すすめることになるのではないか、ということになるのです。 しかし、問題は、JWにとっての背教は、家族・友人からの隔離を さすということです。ですから、簡単に「これは違うからやめよう」とは いえないのです。 しかも、必ずしもすべての人が真実を知ることを喜ばない だろうと言う点です。だまされていたときのほうが幸せと 思う人も多いでしょう。 ■質問 現在私は、このまま自分だけがゆっくりと、村本先生がすすめているように 「断絶」ではない形で「離れる」ようにするか、 JWが変わることを信じてごまかしごまかし在籍し続けるかを考えています。 そこでJW全体をずっと観察されてきた先生にちょっとお聞きしたいのですが、 1.まず、JWは大きく変わることはあると思われますか? もしくは、変化が起こりそうな前兆はあるのでしょうか。 つまり、1914年の教理や忠実で思慮深い奴隷の教理を変え、 集会は聖書について意見を交換し合うような場になる、などの 大きな変化です。 2.また、純粋な興味として、聖書を教えてくれる教会を探しています。 いちばんスタンダードな聖書の解釈、もしくはいろいろな解釈を 独断をいれずに説明してくれる教会というのは、ご存知ですか? …といっても、神経内科の先生に質問するような内容ではないな、と思うのですが、 JWとの関わりも長いようですし、なにかおすすめのサイトだけでもよいです。 わかりません、ということであればそれでけっこうです。 ■意見・感想 JWの発行物とJWの翻訳した聖書だけであっても、矛盾に気づく人もいる ということを誰かに伝えたかったです。長い文章を読んでくださりありがとうございます。 これだけの情報量のページを運営されていることにも頭が下がります。 私は仕事で会社のWebの作成・管理をしておりますので苦労がよくわかるつもりです。 また、読者の広場のような必ずしも良い意見だけではないであろう と思うコンテンツに、感情的ではない客観的な返答を続けておられることもすばらしいと 思います。自己紹介を読んでいて気になったのですが、 奥さんと娘さんはまだJWなのでしょうか? このメールについては、どこでどう公開されてもけっこうです。 読者の広場でコメントをつけていただくのもけっこうです。 いちおう、こちらの予定と違っていきなり「排斥」にされるのも困るので、 公開の際はシグネチャ↓は削っておいてください。
《編集者より》
ものみの塔は今後も変わり続けると思いますが、現在の体制を大きく変える変化は来ないと思います。つまりものみの塔協会がエホバの唯一の組織であり、それ以外のものは間違いであるという根本を変えることは、エホバの証人の教義全体を崩すことになり、これは変えられないでしょう。従って、協会の絶対支配は続き、それに伴う多くの弊害は無くならないと思います。しかし、年代の解釈や、血液や、排斥者に対する態度などは、これまでと同様少しずつ変化していくと思います。もちろんこれは私の単なる憶測にすぎませんが。
聖書の研究ですが、聖書が古代に書かれた文書である以上、現代に当てはめるのに多くの「解釈」が加えられない限り意味をなさないわけで、そこに解釈者の独断と偏見がどうしても入ってきます。従って教会や宗教団体に行って聖書を研究すれば、そこの団体の教義を支持するような解釈の体系を教えられるわけで、これはあなたのものみの塔での体験で痛いほどわかると思います。私は、むしろ「聖書学」として聖書を古代文書として学ぶ方が中立性が保ててよいと思います。これによれば、古代に書かれたことは全て古代の中で解釈し、それを勝手な解釈を加えて現代に持ち込むことがないからです。(もちろん聖書学者も一定の宗教団体に関係していることはありますが、「学者」としての公正さと普遍性を求める態度は多かれ少なかれ貫かれています。)日本では聖書学に関する書籍は非常に数が限られていますが、アメリカ、ヨーロッパでは聖書学に関する資料は山ほどあり、そのような中立的な研究にはこと欠きません。ただし、このような研究はものみの塔から言わせれば、「いくら読んでも真理が得られない」読み方になります。しかし「真理」がものみの塔の創作した神話であるとすれば、そんなものは反って研究の邪魔になるだけだと私は思います。
「JWの発行物とJWの翻訳した聖書だけであっても、矛盾に気づく人もいる」というあなたの言葉はその通りであり、私はそのような人(あなたも含めて)に敬意を表する次第です。私はそのような人は、真に「真理」を求め続けたからこそ、矛盾に気が付いたのだと思います。ものみの塔が与える「真理」が真理であり、それ以上に深く考えることのない大部分のエホバの証人は、残念ながらあなたのように自力で目覚めることは稀なのです。
なお私の家族は、世界600万人の他の証人と同じようにエホバの証人です。あなたのように目覚めることが出来るエホバの証人もいる一方で、目覚めないで(しかし目覚めていると信じて)一生エホバの証人として生きることを選ぶ多くの人々がいます。エホバの証人は今後増減はしますが、必ず少しずつ形を変えながらも存続し続けるでしょう。オウム真理教でさえ、あれだけの批判にもめげずに盛り返す姿勢を見せているのです。これは全て自然のなりゆきであり、変えられない現実です。また、折があったらお便り下さい。