エホバの証人14年の経験

(5-27-01)

 はじめまして。私はYと申します。このサイトは1年前からずっと訪問していま
す。私は関西地方の会衆の証人歴14年の兄弟です。今にも不定期になりそうな伝道
者です。奉仕はかろうじてしるしだけの時間です。もういやでいやでしようがありま
せん。私が信じてきたことの重要な部分が間違いであることを知ったから、また教え
られていることと、実際の事情があまりにも違いすぎるからです。漫画のように違い
すぎているのです。
 4月の「読者の声」コーナーで長老としての推薦をえさに利用された兄弟の投稿が
ありました。私は他人事のようには思えませんでした。私は長老どころか、奉仕の僕
にも推薦されませんでした。積極的に開拓奉仕を捉えなかったからです。私は家族全
員が反対者で、半ば勘当状態なので、将来の生活の蓄えなどはみな自分で準備しなけ
ればならなかったからです。母は再婚していて、私は継父と折り合いが悪かったので
す。ですから家に帰ってもとても居づらいのです。エホバの証人になってしまったこ
とですし。でも仕事も、週4日のアルバイトをしながら、時々補助開拓は行っていま
した。
 バプテスマを受けて4年目の時に私は同じ会衆の姉妹に恋をしました。奥手なが
ら、なんとか姉妹に気持ちを打ち明けました。そのときは、急には返事できないとい
うことでした。しかし、1週間後に早々と彼女の母親姉妹が私に、あきらめてくれと
辛辣に言いました。私は、それは彼女の気持ちですか、と聞きました。もちろん、そ
うだと言います。理由はと聞くと、まだ早すぎるということです。早いといっても、
彼女は25歳、私は1年上でした。とにかく彼女から直接聞きたいと食い下がりまし
たが、聞いてもらえませんでした。私はもやもやした気分ながら、その場は引き下が
りました。しかし、あとで友人から聞いた話なのですが、どうやら理由は私が奉仕の
特権の立場にない兄弟だからということです。おかしいじゃないですか、奉仕の特権
は地位や階級ではないはずです。しかし実際には、兄弟を振り分けるランクだったの
です。私はそれまで、奉仕の特権は、開拓者でなければならないとだめか、というこ
とには気づいていましたが、まさか兄弟としての自分の優劣を見分けるランクである
とは思っていませんでした。ですから、ものすごいショックでした。クリスチャンは
自分の置かれている状況で最善を尽くしているべきではあります。しかしそれは必ず
しも開拓者であるとか、奉仕の僕や長老であるということではないとばかり考えてい
ました。
 私はもう一度彼女に直接会おうとしましたが、彼女はそそくさと私からは離れま
す。仕方が無いので私は彼女の母親姉妹に、私の考えていることを話しました。する
と、「あなたはもう5年近くにもなるのに、いまだに奉仕の僕になれない、エホバか
らの是認がまだないということではありませんか」という意味のことを遠まわしに言
われました。エホバの是認と言うのは、証人の教理によれば、ハルマゲドンの時に明
らかになるもので、今は是認を得られるように誠実な努力を払っているべき時のはず
です。なのにどうしてベテランの、模範的な注解をし、長老たちからも一目置かれて
いる姉妹の口からこんな差別的なことが話されるのでしょうか。
 私は私の思っていることを、割り当ての機会を通して話しました。神権宣教学校の
監督は私の話の内容をよくほめて下さいました。しかし彼女も、彼女の母親も態度は
変わりませんでした。こうして私の恋は惨めな形に終わりました。
 それ以来私は奉仕の僕になろうと、必死でがんばりました。長老に近づき、奉仕の
僕になるのにどんな努力ができますか、と尋ねると、独身の賜物を活用して開拓奉仕
をするのは訓練になります、ということでした。私は必死に祈り、一大決心をして仕
事を辞め、清掃の仕事をして、開拓奉仕を捉えようとしました。しかし週三日の給料
ではとても暮らしてゆけません。私はたちまち経済的に行き詰まってしまいました。
そこで、パートナー生活をしようと、長老に相談しました。しかし、会衆内の兄弟た
ちにそうする予定のある人がいないのと、パートナー生活をするならまず開拓者にな
るよう勧められました。経済的に苦しい今は、サタンが、開拓者にならせないよう私
に圧力をかけているのかもしれませんと言われました。私はまたまた必死に祈り、思
い切って開拓者の申込書を提出しました。しばらくすると開拓者の推薦がきました。
私はその頃、食事を抜く日があって、かなり体調がわるかったのです。巡回監督はと
ても喜んでくれて、とにかく1年がんばってみるように、と言いました。私はパート
ナーを組みたいのですが、と尋ねると、パートナーを組んで必要の大きな会衆で奉仕
しようと言う目標は立派なものです。それには公開講演を行う資格を捉えてくださ
い、ということでした。つまりまず奉仕の僕となるようにということです。私は森の
中で同じ場所をぐるぐる巡って迷っているような気持ちになりました。必要の大きい
のは今のところ私の経済であり、私の空腹なのです。仕事先は業績が悪いのか、仕事
があったりなかったりという具合なので、決まった給料にならなかったのです。私は
とうとう、母親にまとまったお金を無心しました。光熱費を払えなくなり、農協の人
がガス料金の徴収のため、私の家の戸をたたく出来事があり、それが会衆の姉妹に見
られて、うわさになったのです。私は本当に恥ずかしかったです。私は長老に呼ば
れ、いろいろ聞かれ、助言されました。こんなときにこそ精神的な支えになって欲し
かったのに。母は飛んできてくれて、説教をし、いくら神さんに仕えているといって
も、自分の生活の面倒も見れないようじゃ全然奉仕になっとらん、と言われますます
プライドが傷つきました。でもそのときは米とコロッケのお弁当を持参してきてくれ
て、母の気持ちに涙しながら食べました。私はとにかく次の巡回訪問で奉仕の僕に推
薦されるのを期待して、もう少しこの態勢を続けてみようと思いました。しかし、推
薦は来ませんでした。私はがっくりとひざの折れる気分でした。会衆のみんなは気を
使って、私にはあまり近づきませんでしたが、それが返って辛かったです。私は1年
そこそこで開拓を降り、経済の立てなおしにかかりました。結局そのままで現在に
至っています。
 そんな時、オウム真理教の事件が起きました。オウム真理教は省庁制度を導入して
いて、またいろいろな階級があり、昇進をめぐって幹部に競争をさせることで、麻原
への忠誠心を植え込んでいたとコメンテイタ−が話していました。私は心密かに、エ
ホバの証人もこれではないか? と思ってしまいました。でもそれは私自身のひがみ
だと反省し、誰にも言いませんでした。
 私はいまだに独身です。この頃はこのまま死んでゆくのかという恐怖に駆られま
す。数年前の大阪ドームの大会で、奈良県の姉妹で、3人の子どもを女手一つで立派
に育てたという経験が話され、その際、一番上の女の子は今では長老の妻です、と誇
らしげに話しているのを聞いて、私は本当に自分が惨めになりました。もうそこで
ノートを取るのをやめました。私の悲恋の相手の姉妹は、今では必要の大きな会衆
で、近隣の会衆の奉仕の僕と結婚して奉仕しています。
 P98さんというハンドルネームの方が、投稿で、長老団の推薦の様子を知らせて
くれていて、とても興味深かったです。「長老はただのぼんくらおっさんですよ」と
いう一文は痛快に思いました。恥ずかしいことですけど。P98さん、また機会があ
れば、長老団の話し合いなどを公に知らせてください。また巡回監督が長老団の集ま
りで実際どんなことを話しているのかという事も知らせてくださったら、私のほうも
してやったり、という気持ちを持てます。そしてこのサイトを訪れておられる現役姉
妹たち、どうか会衆内で兄弟たちを奉仕の特権で差別しないよう、周りに影響力を及
ぼしていただけないでしょうか。私は奉仕の特権には恵まれませんでしたが、聖書と
エホバはほんとうにまじめに信じてきました。この気持ちにうそはないです。そして
信仰というのはそういう気持ちの問題です。重要なのはそういう誠実さであるはずで
す。
 こんなことを公に書くのは恥ずかしいこととして、今まで胸のうちに秘めていまし
たが、「エホバの証人の危険・私の場合」の投稿に勇気付けられて投稿してみまし
た。このサイトはこういう人間の心の仕えを浄化するセラピーの役も果たしていると
思います。お忙しい中、このようなサイトの仕事もしてくださって大変でしょうが、
村本さんのこの仕事は大勢の人を助けていると思います。可能な限り続けていってく
ださるよう期待いたします。
 では、これで失礼いたします。

《編集者より》
よく苦しく涙の出るような体験を詳しく書いて下さいました。書くこと自体辛いことであると思いますが、これを書くことは、あなたの心の癒しになると同時に、あなたと同じような苦しい道を通ってきた人たち、また現在苦しんでいる現役の証人たちに大きな心の支えを与えることでしょう。この場が、そのような方々の心の交流の場となっているとすれば、編集者の最大の喜びです。今後も同じようなお便りをお待ちしています。