闘い続ける元2世

(12-19-00)

 私は現在24歳の、不活発になって5年が経つ男です。14歳でバプテスマを受け、17
歳のときは武道の柔剣道の問題で高校を編入さえしました。19歳までに数え切れぬ
ほどの補助開拓奉仕をこなし、同級生を研究生にしたり、色んな特権をこなしたり
と、会衆では極めて模範的な若者として見られていました。
 しかし、実は17歳ごろから、内心では圧倒されるような疑念と懐疑を抱きつづけ
てきました。幼少期からのそれが、一気に爆発するかのように。
 どんなに個人研究と熟慮と経験を重ねても、その疑念が晴れることは決してなく
、むしろそれをやればやるほどでかく深刻な、確信へと近づいて行きました。
 そして、例の”世代の見解の調整”を理解したとき、それは決定的なものとなり
ました。私は、自分の頭脳を鋭利なナイフのように最大限に研ぎ澄ますよう努力し
ながら、協会のあらゆる文書や、入手し得る限りの世俗の学術文献や、有名な長老
たちの説明を聞き、それから時間をかけて自分の中で熟考しつづけました。まさに
、そこに自分の命を注ぐがごとく・・・。それは、自分という人間の無意識レベル
に蓄積されてきた、過去の歴史を掘り起こして一つ一つ確認して行く作業でもあっ
た。
 それから、組織にいたときの遮蔽された精神状態では決して見えなかったいろん
なことが解ってきました。絶対的な矛盾と、不条理、理不尽。そして、語り尽くす
ことのできないほどの、絶望感と後悔と、自滅への衝動と、・・・。
 自分が幼少期から、無意識のうちに、動物が本能的に危険を察知するかのように
(事実、幼い子供の直観力は野生動物の嗅覚に近い)、漠然と感じ取ってきた、”
何かが変だ”という気持ちの正体の全貌が分かった。

 私は今、この恐ろしい不条理に満ちた”犯意なき、魂の殺人者”たりえる組織と
、本当に論理的に戦う知恵が自分にあると確信しています。
 自分と同じように、今も過去の亡霊に苦しめられながらも闘いつづける人たちな
どと、色んな情報交換をさせていただきたいです。 私たちは、ちょうど無実の罪
で、冤罪をふっかけられて、周囲の巨大な圧力によって終身刑にされた人のようで
す。(アカデミー賞7部門に輝いた不朽の映画、”ショーシャンクの空に”を見てそ
う思いました) 私たちは、想像を絶する過酷な運命を背負わされましたが、自分
の人生と、自分を取り戻すために闘いつづける、本当に立派な戦士です。 また、
お便りします。

PS:私の今の夢は、元エホバの証人たちと事業をはじめて、会社を大きくし、みん
なで大金持ちになることです。元JWのみんなには、実は様様な隠された能力や、精
神力があると思います。なにより、お互いを真に理解し合える、貴重な間柄だと思
います。ビッグな成功を勝ち取り、壮絶な過去を人生のスパイスとして笑って振り
返り、その泥沼の地獄を生き抜いた戦士として、人間的にも社会の模範になるよう
な大きな人間になることです。そうなるのが自分の夢です。ちょっとしたビジネス
・アイデアもあります。

《編集者より》
元エホバの証人や二世の人々が交流して互いに助け合って大きな活動が出来れば、これは素晴らしいことだと思います。しかし、これには多くの困難な問題があります。まず、多くの元証人や二世は、組織に留まる家族との関係を考慮して、元証人としての立場で公に活動することにちゅうちょします。もう一つよくある問題は、元証人たちの間での価値観の多様性です。自分の過去を悲惨なものとして「被害者」として組織の責任を追及しようとする人がいれば、一方でそんなに悪い経験でもなかったから組織に残る人々を妨害する行為はしたくないという人もいます。組織を出て他の宗教に入りなおした人もいれば、もう宗教なんか懲り懲りという人もいます。他の宗教に入った人々は、ものみの塔を出た元証人たちを格好の伝道対象と考え、そのために宗教に懲りた人々に別の宗教を押し付ける形となり、そこに軋轢が生じることも多くあります。

確かに元証人は非常に特殊な過去を背負って生きている人々ですが、それだけで特別なことが出来るとも思いません。他の投書にもあるように、まず一般社会人として一人前の生き方を確立することが先決でしょう。その上で他の元証人の気の合う人を探して一緒に活動をすることは可能でしょうが、同じ苦しい過去を共にしたというだけで、将来の関係が全てうまくいくわけでもありません。そういう意味では、元エホバの証人や二世の支援体制が出来る可能性があるとすれば、それは宗教や社会的な立場を超えた、広く寛容な受け皿を持った慈善団体的なものでなくてはならないのではないでしょうか。