「カルトの子」について−エホバの証人の子供の問題

(12-18-00)

いつもサイトを利用させていただいております。
有益な情報は大変参考になります、ありがとうございます。
わたしはJW2なのですが以前取材依頼がありジャーナリストの方と
お話をする機会がありました。その方はカルトに所属する親に育てられた
子供についてのルポを執筆したいとのことでした。
最近、筆者から連絡があり店頭に出ていると聞き、早速読んでみました。

扱われているカルトは、オーム、JW、統一教会、ヤマギシ、ライフスペース
の順に書かれています。読み進めて行くにつれて各団体の子供の扱いの
違い、特殊性が述べられてゆきますが、同時に共通点についても徐々に明らかになっ
てゆきます。その過程がたいへん興味深いものでした。

本来、親は子の(物心両面の)欲求を充足する立場であるはずのものが、
カルト活動を生活の第一義としてしまった結果、子育てにもカルトの指導を導入、遵守し
子育てそのものがカルト活動と同一化してしまうのです。
筆者は多数の二世に取材を試みたようですが結尾に、
カルトにしか目を向けなくなってしまった親の子供は、親の愛情を得んがために
親の希望を実現するべく自分を殺しカルト活動にコミットしてゆかざるを得ない
という構図をあらわしました。
子供が親の欲求を充足する立場になってしまったとして、「親子の逆転」と
筆者は表現しています。

わたしが初めて通読した時、JWに関する章は動揺してしまい平常心で読むことが
できませんでした。二度、三度と読み通してゆくうちに、筆者がカルトの子に接したとき
どのような感情を覚えたのか、そして現時点での総括の意味がなんとなく
理解できたように思います。また、自分自身が語った言葉を活字として一人読んだとき
フラッシュバックというか当時の感覚が突如蘇ってしまい、かなり気分が滅入ってしまったのが
正直なところです。筆者と喫茶店で笑いを交えながら語っていた内容なのに本として読むと
凄まじいインパクトがあるのですね(当事者だからかもしれませんが)。

筆者は最後に官学共同で「カルトの子」に取り組む必要があると書いています。
JWの子供については最近になってインターネットで活発な意見交換がなされていますが
匿名性ゆえなのかどうか言いっぱなしで終わってしまい、悪く言えば不満の捌け口にしか
ならず発展性は微塵も感じられないのが現状ではないかと思います。
その原因として自分達の幼少期が一般的な日本の社会のなかで、何が異質だったのか
どのような影響があったのか、という点がいっさい論点となってこなかったからではないでしょうか。
極端に言えば、論点もなにも社会から完全に忘れ去られている存在とも言えないでしょうか。
わたしが常に感じるのは、現役であれ離脱者であれJW時代に子育てをした人達が
今、苦しんでいる子供の問題とJW体験を分離している方が多いと思われるところなのです。
正直、それはとても恐ろしい現状認識のしかたであると思います。
筆者も書いていますが、親の話とこの話が食い違うことが多いようです。問題となるのは、
子育ての期間において非常に重大な、心に強い影響を与えかねない出来事についての著しい認識の相違です。
この本を読む限りでは親に認識を改めてもらうのはほとんど不可能に思えてしまいます。
そのような意味で官学共同の社会的な取り組みは必要かもしれません。

(もし、「読者の広場」に掲載していただけるのでしたら、是非、匿名でお願いいた
します。)

《編集者より》
この米本和広氏の「カルトの子」は新刊書の紹介として、今回ニュースとお知らせの欄に掲載しました。エホバの証人の二世や子供たちの抱える大きな問題を、どのように取り上げていくか、これは非常に難しい問題です。米本氏のように、取材と執筆を本業としている人だからこそ出来るのですが、多くのエホバの証人二世は、人生の暗い一面として正面から取り組む気にはなれないのかもしれません。また多くの二世は、組織に留まる家族を持ち、家族関係の維持のために匿名発言以上のことが出来ないのでしょう。このような壁を乗り越えるには、表立って発言できる立場にいる元証人たちの積極的な活動が必要だと思います。あなた自身はいかがでしょうか。