エホバの証人の親に育てられた心の傷−元研究生より

(2-14-00)

はじめまして。現在25歳の元研究生です。今回、初めてホームページを拝見させて
いただきました。ささいな事なのでしょうが、このようなホームページを開くに至る
まで、何年もかかってしまいました。私にとってとても勇気のいることですが、これ
からの私が、自分なりの幸せを切り開いていく上では必要なことなのです。
長年、誰にも言えず貯めてきてしまった気持が山程積もってしまい、何から書いてい
いのかよく分かりませんが、つたない文章なりになんとか言葉にしてみたいと思いま
す。

私がエホバの証人だったのは8歳から7年間です。母に連れられて、強制的に教えを
叩き込まれていました。そこに、自分の意思が入る余地はありませんでした。8歳の
時から、少しでも神の教えに背いたら永遠の滅びが待っていると毎日のように聞かさ
れ、何度恐ろしい夢にうなされたか分かりません。まだ十分自分の気持を言語化でき
ない年頃ですから、ただ漠然とした恐怖が後から後から襲ってきて、疑問を感じる事
さえ、自分に禁じざるをえませんでした。高校に入る時、自分の意思ではっきり辞め
ると宣言して辞めたのですが、心だけは25歳になった今も、あの呪縛から逃れるこ
とができません。辞めた瞬間から、自分が取り返しのつかない罪人なのだとずっと自
分を責め続けているのかもしれません。自分らしく幸せになりたいと思って決死の覚
悟で辞めたにも関らず、自然なことを、自然に楽しめない自分がいます。最近まで神
社に近寄る事もできなかったのですが、そんな自分が嫌で、無理やりおみくじをひい
たりお守りを買ったりしてしまいます。それが出来た時は、すごく嬉しいのですが、
その後、どっと落ち込みます。とても悪い事をしてしまったような気になるのです。
恋愛に関しても同様で、いつも罪悪感がついてまわります。愛している人と愛し合う
事が罪だなんて、そんな馬鹿な話はないのだと頭では分かっているのですが、心と体
が未だについていきません。3年前、心底愛していた人がいて、その人のいない永遠
の人生なんて意味がないと思い、彼と寝ました。彼のことは愛していたし、後悔はし
ていないけれど、そのことで自分を責めることが辞められず、彼に愛される自分も許
せず、自分から彼とは別れました。結局、別れてからの2ヶ月間、水さえも吐く状態
が続き、体重が30キロ代まで落ちてしまいました。それほど、自分への嫌悪感は強
いものでした。その後、別の人と付き合ったりもしましたが、セックスになると体が
こわばってしまい、できませんでした。相手は側にいてくれるだけでいいんだと言っ
てはくれましたが、私の方がいたたまれなくなって、逃げ出してしまいました。それ
以来、誰も好きになっていません。

宗教を否定する気はありません。誰にでも信仰はあります。自分自身を信じていたっ
ていいし、青い空やそよぐ風になんだか分からないけれど大きな力を感じたり、友達
のくれた一言に励まされたり。信じられる何かがあるということは、それだけでも
う、人生を意味のあるものにします。信じるものは皆違って、皆それぞれに胸の中に
自分だけの神を持っているんだと思います。その神に名前をつけたい人はつけても良
いし、それを他人と共有したい人はすればいい。誰にとっても信仰とは自由なもので
す。ただし、宗教を、在るかないか分からない未来にばかり気を取られて、今の人生
や家族をないがしろにする理由にすることはできません。宗教は、人間が今の人生を
自分らしく、そして幸福に生きていくためのものだと思います。私の頭はかなり前か
らその事を知っているのに、どうして今も私の心を縛りつけ離してくれないのでしょ
う。エホバの証人をとうの昔に辞めているのに、神社に行けなかったり献血が出来な
かったり、選挙へ行けなかったり、恋人とセックスができなかったりするのは、端か
らみれば馬鹿みたいなことでしょう。頭でその理不尽さが分かっているのだから、な
おさらです。私と同時期にやめた姉は、もう結婚しています。我が家では、母が宗教
にのめり込んで家族を省みなくなってから、姉は家を飛び出し、弟も非行に走り、結
局、父も別居することになり、家庭が崩壊しました。この宗教が私達家族を深く傷つ
けていたことは、事実です。傷が余りに深く、互いに口に出せない程でした。最近に
なってやっと、姉や母ともそのことについて話ができるようになり、その時姉が言っ
ていた言葉が、「いつまでも昔のことに縛られているなんて、馬鹿みたい。おかしい
と思ったのなら、色々調べてみればいいじゃない。私は、色んな種類の本を読んで、
他の宗教の本も読んで、色んな事実を突き合わせて、その上で、自分の頭でそんなの
変だって判断したからその時点で心から辞められたんだよ。」でした。私も、ただた
だ罪悪感に飲み込まれているだけではなく、自分から、自分を守るために戦わなけれ
ばならないのだと思いました。今まで怖くて手にする事さえはばかられていた本を読
み、様々な人の意見を知り、客観的に物事を判断できる目を育てていかなくては、こ
の呪縛はとけそうもない。そう思って、このホームページを開いたのです。

本当に、「馬鹿みたい」な話なので、人には言えず、自分の中にしまい込んできまし
た。けれど、しまいこむ事こそが、私自身を変わっていけなくさせていたのだと思
い、思い切ってメールを書かせていただきました。これから、まだまだ時間がかかる
かもしれませんが、私自身人間として当然あるはずの様々な感情を味わう事を恐れず
に、私なりの幸せを探して行きたいと思います。

だらだらと長くなってしまいましたが、最後に一言。同じような経験のある人が私に
言ってくれた「本当につらかったんだね・・・」という言葉に、涙が止まりませんで
した。今まで、そんなことを言われた事はなかったし、自分でつらいと思った事はな
かったけれど、その時初めて、エホバの証人であったことが大きな傷になっていたこ
とに気付きました。もし何処かに、同じ想いを抱えている誰かがいるのなら、私もこ
う言ってあげたいです。「本当につらかったんだね・・・。あなたは、幸せになって
いいんだよ・・・。」

《編集者より》
あなたの体験は、典型的なエホバの証人二世の悲劇を体現したものですし、あなたの家庭の崩壊も典型的なものと思えます。あなたの辛い気持ちは同じような苦しい道を通って来た人にしか理解できないと思います。あなたがインターネットの上で元エホバの証人の声を聞くことができるようになり、このように発言ができるようになったことは、あなたの心のリハビリテーションの大きな第一歩だと思います。この読者の広場にはあなたと同じような苦しい人生を歩んで来た人々が沢山訪問しています。きっとあなたに、「本当につらかったんだね」と慰めの声をかけてくれると思います。今後も恐れることなく元エホバの証人としての発言を続けて、後に続く元エホバの証人の心の支えとなっていただくことをお願いします。