「道とは自分で切り拓くもの」−返事

(12-23-05)

前回『道とは自分で切り拓くもの』で投書した北海道の元二世のものです。ご掲載いただ
きありがとうございました。
先生の言っておられた、同じ兄弟姉妹でありながらなぜ正反対の道を歩むようになったの
か、という疑問に関しては私自身も実は考えていたところです。私はなぜ簡単に組織を出
られたのか、その答えは単純に、その宗教をすることにより社会的な弊害が生じると感じ
ていたこと、あとは元々信じていなかったのでしょう。信じていたふりをしていた、と言
えば語弊が生じるでしょうが、信仰心が全くなかったと言えば嘘になりますし、かと言っ
て全てを信じていたかと言えばそれも違います。
こう言えばご理解していただけるでしょうか。私は聖書は聖なる書物として認識していま
したが、王国会館が聖なる場所とは考えていませんでした。
神の存在を漠然としてでも認めていても、統治体の人々を特別な人間としてみる傾向には
抵抗がありました。
この宗教に感銘を受けた人々が新たに加わるのは素晴らしいと思いつつも、わざわざ伝導
活動までして信者を増やすことには何か商業的な臭いがしていました。
世界中にある数百万、数千万の宗教を偽りの宗教だと非難し、これこそ真理、と唱うこの
宗教は、もしかしたらその数百万、数千万の中のひとつに過ぎないのでは?と疑問を持っ
たのは小学生の時です。
同級生に証言しなさい、と母に言われ、仲の良い友人にこの宗教の素晴らしさを子供の言
葉なりに説明しました。その友人は黙って聞いてこう答えました。『でもお前のとこもそ
のたくさんの宗教の中のひとつなんじゃない?』
私は子供時代に友人から言われたこの一言がなかったら、今もまだ組織にとどまっていた
のかも知れません。自分達は正しい、これが真理だ、と言うのは勝手だが、子供にもバレ
るような証拠しかなく、主観的な説明しかできないのなら、その名のどこに真理など存在
するのでしょうか。例えば、私が子供の頃から、ハルマゲドンはもうすぐ来る、皆滅ぼさ
れる、と言われ続けて、気が付いたら成人です。その時になればもう今日明日にでも来て
もおかしくないという風潮がありましたが、あれから14年経ちなお世界は動き続けてます。
普通の感覚を備えた人ならこの辺で気が付くはずなのですが、私の家族(母と長兄と妹)
に関してはますます組織に固く付いています。1914年の年代計算の変更が発表されても何
ら違和感を持たないのはなぜなのでしょうか。

私が勝手に思うことですが、例えとしてふさわしくないかも知れませんが、パチンコなど
のギャンブルにはまってなかなか抜け出せない人と似ているのではないでしょうか?特に
パチンコは依存症があります。一度でもそれでいい思いをした、または楽しかったと感じ
たらなかなか抜け出るのは難しいです。
パチンコを続けているとどうしても負けが来ます。その時にきっぱり見切りをつけて帰れ
る人間とそうではない人がいます。
違いは、前者はこれは所詮勝負事であり、これ以上やればどのような結果になるかをわき
まえている人間、つまり負けを最小限に留めておこうと前向きに考える人間です。しかし
後者は、自分の財産や時間をつぎ込んだものからそう易々と手を引けず、もう少し頑張れ
ば当たりが来るのでは?と過度の期待をしてしまう人間です。言い換えればなかなか諦め
がつかない、自分の投資以上のものを得ないと気が済まない人間とも言えます。
パチンコ屋は商売ですから、そう簡単には勝たせてくれませんし、勝とうと必死になる人
間、言わば選ばれた人になろうと必死になる人間は絶好のカモなのです。私はこの、もの
みの塔という宗教が、商売であったら?と考えると恐ろしくなりました。だからこそ、私
は被害を最小限度に留めて、あとの人生は自分のために使おうと決心できたのです。

私の家族は、恐らく自らの意思では引き返せない場所に来ているのでしょう。今までもの
みの塔に捧げた時間や財産を考えたら、いつか来る確変大当たり(楽園)を待ち望んでこれ
からも全てのものを捧げるしかないと思っているのでしょう。
ものみの塔にしてみたら絶好のカモです。
ですから、人生において欲張らない人間こそが早々と気が付いて脱会していると私は解釈
します。

加えて、これは変な話ですが、母も長兄も妹もすべて午年生まれです。あとは家族に午年
生まれはいません。関係ないとは思いますが、共通点の一つでした。

《編集者より》
こちらの疑問を真剣に考えてお返事を頂きありがとうございました。掲載が遅れたことをお詫び申し上げます。「宗教依存症」の問題は私もとても興味があって、今後の研究課題にしています。生まれた年は関係ないと思いますが、あなたと組織に残っている兄弟姉妹との間に、はっきりした性格の違いがあるでしょうか。多分あなたがより柔軟性のある考え方ができて、他の家族はより硬直的な考え方をするというような面があるのではないかと思いますが。いずれにしても、興味のある問題を提起してくださりありがとうございました。