「なぜ被害者は警察に報告しないのでしょうか」

(4-22-05)

今月2回目の質問です。組織の児童虐待の実態の件でもう一つ疑問があるのですが、2万
3000件もの性的虐待のケースがあるのに、なぜ被害者は警察に報告しないのでしょうか。
外部に漏らしたということで、排斥になった人も多いようですが排斥になったのなら怖い
もの知らずで警察に言えば捜査の手がすぐに入るはずだと思うのですが。そうなれば協会
にも捜査のメスが入り、協会が虐待の証拠となるデータベースを隠したとしても、多くの
訴えがあれば、警察も徹底的に捜査すると思いますし、今頃かなり協会への悪い評判がア
メリカのみならず、日本にも知れ渡っていると思います。しかし、そうなっていなってい
ないのはなぜなんでしょうか。
2万件以上もの被害があるのであれば、相当数の警察への被害届けがあってもよいと思う
のですがなぜそれほどないのか疑問です。アメリカではエホバの証人の児童虐待の問題を
クローズアップさせた報道番組があったようですが、信者たちがそれほど組織への信頼を
失ったようでもないようですが、その点は日本に情報がほとんど公には入っていないので
村本さんにアメリカでの様子を教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたしま
す。

《編集者より》
あなたが引用しているのは本サイトに掲載してあるニューヨークタイムズの記事だと思いますが、その記事にも書かれているように、組織は秘密主義を第一にして、外にその実態が漏れることを警戒してきました。そのためにものみの塔協会は、組織内で犯罪行為が行なわれた時にも、それを警察に通報しないように教えて来ました。たとえば、次のものみの塔誌1991年10月15日号の記事はその教えをよく伝えています。

*** 塔91 10/15 28 仲間のクリスチャンにお金を貸す ***
冒頭で述べたペドロがしたように、世俗の権威を巻き込むのはほとんどの場合得策ではないでしょう。使徒パウロはこう言っています。「あなた方の中には、他の人に対して訴え事がある場合、あえて法廷に、不義の人々の前に行き、聖なる者たちの前に行かない人がいるのですか。……あなた方の中に自分の兄弟たちの間を裁くことのできる賢い人が一人もおらず、兄弟が兄弟と共に法廷へ、しかも不信者たちの前に行くというのはほんとうですか。であれば、あなた方が互いに訴訟を起こしていることは、実際のところ、あなた方にとって全くの敗北を意味しています。なぜむしろ害を受けるままにしておかないのですか。なぜむしろだまし取られるままにしておかないのですか」―コリント第一 6:1-7。
ものみの塔協会は、内部で悪事が行なわれた場合には、このコリント第一6章の教えを引用して、警察に訴える前に内部で穏便に済ませることを勧めてきたのです。この教えと秘密主義との両方の圧力から、現役のエホバの証人で組織の教えを忠実に守る被害者のほとんどは、警察に通報することができませんでした。つい最近になって、これらのエホバの証人の被害者が組織を出られるようになって、堂々と告発できるようになったのです。