私はエホバの証人の配偶者と離婚するべきですか

Randall Watters著


訳者より

この小文は、主としてアメリカでよく見られる状況を元にして書かれています。しかし、この文の夫と妻を入れ替えて読まれると、日本に多い、エホバの証人の妻と、反対者の夫という図式にも充分当てはまると思います。


 結婚相手のうちの一人がエホバの証人である、分裂させられた世帯が直面する困難な問題は、離婚です。子供の養育権がしばしば問題となります。ものみの塔さえもが、非エホバの証人の配偶者の関係する家族問題に関して裁判になる例が増えていることを認めています。目ざめよ!9/22/92の、p.11は、次のように述べています。

一部のエホバの証人がよく引き渡されるようになった裁判所の一つに家庭裁判所があります。オーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、ノルウェー、米国などの国において、反対者たちの小さいグループは、未信者の配偶者が忠実なエホバの証人と離婚する際に、親権の問題を結着させるにあたって宗教を主な争点にすることを試みてきました。エホバの証人の親たちは、自分が証人であるという理由だけで親権を失ったのです。

この問題の核心は、実際に宗教そのものが、大部分のこれらの離婚、及び、養育権の事例で争点となることです。何故でしょうか。エホバの証人が非エホバの証人の配偶者に離婚を求める理由には、以下のようなものがあります。

  1. 子供は、王国会館へ行ったり、家から家への伝道に出るように強要されます。
  2. 子供は、母親あるいは父親が、神に対する愛の欠如のために、ハルマゲドンで破壊されるであろうと教えられます。
  3. エホバの証人の配偶者は、非エホバの証人の配偶者に感情的にも身体的にも無関心であり、彼らを「霊的な敵」とさえ呼ぶのです。(これは非常によく見られることです。)
  4. 双方の配偶者がエホバの証人であり、そのうちの一人が、組織がカルトであることを発見して出ることがあります。そうなると証人である配偶者は、他方を尊敬にも注意にも値しない「背教者」と見るようになります。

他にも理由はあるでしょうが、これらは、最も普通に見られる理由のように思われます。この問題に関して既に何年もの間苦しんできた人々に、傍観者的な忠告と、なだめるような回答を与えることは我々にとって容易でしょう。しかしより有効なのは、これらの問題に関するアドバイスをしようと試みる前に、これらの困難と闘っている人々の気持ちになって考えてみることでしょう。上に述べたこれらの理由を一つ一つ見てみましょう。

  1. よくある例は、夫がエホバの証人であり、子供が王国会館に行くことを主張するのに対し、妻は家にいる、もしくは、教会へ行く場合です。時に妻は、子供を教会に連れていくための平等な時間配分を得ることがあります。しかしこの取り決めは通常長く続きません。王国会館で与えられる毎週のメッセージが、教会に対して全く敵対しているので、子供は、困惑した状態になり、一切の宗教を拒否することになったり、または、確立された体制的教会に反対する「反逆的」教えを持つ側(即ち、ものみの塔)につくようになります。また、母親の側に立つよりは父親の側に立つ方が、子供にとってより多くの利点があるかもしれません。母親は、彼女自身の心の健全さを守ることは別としても、子供が人生の落伍者になるのを防ぐためだけでも、離婚して子供の養育権を獲得する方がまだましであろうと思い始めます。
  2. 母親(あるいは父親)にとって、自分の子供が、その親が邪悪な者であるという理由で離れていくこと以上のひどい仕打ちがあるでしょうか。子供は、一般にそのような複雑な状況の微妙な面を理解することは不可能であり、物事を白か黒かと見なす傾向があります。エホバの証人の父は、そのような見かたを助長させ、母が道徳的に腐敗していることを示唆します。母親への感情的な圧力は、耐え難いほどに大きくなり、彼女は選択に迫られるのです。
  3. 私は、夫がクリスチャンであり、妻はエホバの証人であって、少なくとも20年の間結婚していた夫婦のことを個人的に知っています。そして、この夫婦はそれでなんとかやっていました。しかし、それでも、妻は、彼女の夫が彼女の「霊的な敵」であることをはっきりと表明していました。どのくらいの人々が、そのような情況の下で何年間も生活することができるでしょう。あなたはできますか?もしエホバの証人がその愛情や、性的関心や、注意を非エホバの証人の配偶者から切り離してしまったとすればどうなるでしょう。あなたはそれに耐えられますか?
  4. 一人の配偶者がエホバの証人を離れ、他方が組織に残る場合、ものみの塔はエホバの証人を離れた者を背教者、あるいは神に対する反逆者として攻撃をするので、最も困難な状況が生じます。彼らの目から見て、信者がものみの塔から「面目を保って」出る方法は無く、従ってそのような者は、「エホバを離れた」がために直ちに邪悪な者と見なされるのです。あなたがあなたの配偶者を「邪悪な者」と見なすならば、その配偶者とあなたとの関係は、どのように正常に保てるでしょうか。従って、ものみの塔がなんと言おうとも、この問題は、実に大部分の場合に、宗教そのものが核心になっているのです。部外者に対するその極端な立場のために、離婚はしばしば避けることができなくなります。

あなたは、あなたのエホバの証人の配偶者と離婚するべきでしょうか。そのような難しい決定を行うことができるのはあなたのみです。状況があなたにとって耐えられるものであり、そして、あなたがその配偶者を愛するならば、パウロの次の言葉が、当たっているかもしれません。

というのは、妻よ、あなたは夫を救えないとどうして分かるのですか。また、夫よ、あなたは妻を救えないとどうして分かるのですか。(コリント第一 7:16) 


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