「終わりの日のしるし」とは何か?

ものみの塔の主張する「事物の体制の終結の複合的なしるし」は
確かに現在が「終わりの時」であることを示しているだろうか?

次のような事実を考慮してください。1914年にぼっ発した戦争はそれほど大きなものだったので,最初の世界大戦として知られるようになり,それ以来平和は確かに二度と再びこの地球に戻ってはきませんでした。第一次世界大戦に続いて,人間がそれまでに経験した最大の飢きんの一つが生じましたが,今日でさえ1年におよそ4,000万もの人々が食糧不足のために死んでいます。1918年に起きたスペイン風邪は病気の歴史の点で類例のない割合で人命を奪いましたし,科学的研究にもかかわらず,今でも何千万もの人々がガン,心臓病,忌まわしい性病,マラリア,住血吸虫病,回旋糸状虫症などで苦しめられています。大地震の起きる頻度は1914年以前の2,000年間における平均の20倍にまで増大しました。
恐怖や苦もんは地球的な規模であらゆる年齢層の人々を苦しめています。その理由の中には経済的な不安,凶悪犯罪ならびに潜水艦から発射されたり,天から突入したりする兵器の使われる核戦争による絶滅の脅威などがありますが,このような脅威は20世紀以前には決して考えられなかった事柄です。
(『新しい地へ生き残る』 1984年23頁)

(『新しい地へ生き残る』 1984年27頁)

エホバの証人の教義を研究するものは、先ず、「今は終わりの時です」という、特別の終末信仰がその教義の中核となっていることに、直ぐ気が付く。エホバの証人になろうとする人々に教義を教える教材、「永遠の命に導く知識」では第11章で「今は終わりの時です!」という題の元に、この教義を詳しく教えている。また、「知識」の前に使われていた教材、「あなたは地上の楽園で永遠に生きられます」でも第18章で「『世の終わり』は近い!」という題の元にこの教義を解き明かしている。これらの教えの内容を読んでみると、幾つかの「終わりの日のしるし」が現代、特に1914年以降の世界に存在することが、「今が終わりの時」と宣言する主な理由であることがわかる。上に掲げた『新しい地へ生き残る』27頁の図は、この終わりの日の教義を要約したものである。また最近の1998年9月15日号のものみの塔誌でも、その7頁に「終わりの日の幾つかの特色」を、読者にアピールする形で取り上げている。

これらの客観的に比較的評価しやすい現象の他、「人々は恐れから気を失う」、「親に対する不従順」、「金を愛する者」、「神を愛するより快楽を愛するもの」、「敬虔な専心という形をとりながらその力において実質のない者となる」、「地を破壊させている」等々の、主観的、感情的でつかみ所もなく、実証的に比較もできない「しるし」も挙げられている。

これらの「しるし」の解説を読むと、これらがこの現代という時代に特有のものであることを、読者に印象づけることをねらっていることがわかる。しかし、ものみの塔協会は、これらの記事でも、またそれ以前の教義の解説でも、どのような根拠でこれらの「しるし」が現代特有のものであるかを、歴史的な比較、統計や学術的証拠を示して、明らかにすることはなかった。ものみの塔協会が、現代が他の時代とは全く異なる、特異な「終わりの日」であることを主張するには、それなりの証明可能な理由がなければならない。そのような具体的根拠を示さず、「今が終わりの時です」と言いふらすなら、ものみの塔はただ、恐怖心と危機感を煽るだけの煽動活動をしているに過ぎないと言われても仕方ないであろう。

ものみの塔協会は一体何を根拠に「今は終わりの時です」と言っているのだろう。この疑問に答えるのがこのページの目的である。以下に、それぞれの「しるし」について、ものみの塔協会の主張を、歴史や科学の光の中で検証して、確かな根拠のある「しるし」なのか、それともただの煽動の材料としての根拠の無い宣伝文句なのか、を調べてみた。

これらのものみの塔協会の解説を読む時、先ず注意しなければならない点は、いわゆる「権威者」の言ったこと、書いたことを、前後関係から切り離して自分の主張に合うように引用すれば、ほとんどどのような事柄でも、「権威付けられ」、あたかも証明されたように読者が感じてしまうことである。ものみの塔協会は正にこの手法を各所でふんだんに使用して、ナイーブな読者を「印象」から「確信」へと飛躍させてしまう。すなわち、感情的な印象が確信に変えられ、盲目的な信仰が確立されていく。その過程では証拠の客観的吟味、トリックや虚偽の存在は忘れ去られてしまう。しかし、現代の歴史を解釈するのに真に重要なことは、「権威者」の引用ではなく、その裏にある事実と証拠そのもののはずだ。またもし、「権威者」を引用して自分たちの主張を支持するのなら、はっきりと前後関係をも引用し、またそれに反対する「権威者」がいる場合は、その反対意見も同様に検討すべきであろう。

この記事では、ものみの塔の主張する「今は終わりの時」である「証拠」が、全くの根拠の無い物であることを歴史と科学に基づいて明らかにする。多くの資料は、Carl Olof JonssonとWolfgang HerbstのThe Sing of the Last Days When?に基づいており、それに編集者自身の調査とAlan Feuerbacherの研究資料も取り入れた。

  1. 「終わりの日のしるし」−戦争の歴史

  2. 飢饉の歴史

  3. 疫病の歴史

  4. 「終わりの日のしるし」−地震活動は変化しているのか?

  5. 犯罪の歴史

  6. 聖書が述べる「終わりの日のしるし」とは何なのか?


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